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健診で副腎腫瘍が見つかった:副腎偶発腫とは

別の目的で受けたCTやMRIで偶然見つかる副腎腫瘍について、画像の性質、ホルモン検査、手術と経過観察の考え方を解説します。

左右に並ぶ淡い紙の器の一方で、小さな金色の球を大きな観察の輪が捉え、健診で偶然見つかる副腎腫瘍を表した概念図
副腎や腫瘍、CT画像を写実的に描かず、予期せず見つかった所見を確認していく過程を、1つの球と観察の輪で表現しています。© Uro Care 医学編集部
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別目的のCTやMRIで副腎腫瘤が偶然見つかります

腹痛、腰痛、健診、がんの経過観察などでCTやMRIを撮った際、症状とは関係なく副腎のしこりが見つかります。このように、もともと副腎の病気を疑っていない状況で偶然発見された腫瘤は、副腎偶発腫と呼ばれています。

副腎は左右の腎臓の上にある小さな臓器で、コルチゾール、アルドステロン、アドレナリン系ホルモンなどを作ります。画像でしこりが見つかった時には、まず「悪性を疑う画像か」と「ホルモンを過剰に作っているか」という2つの方向から評価されます[1][5]。

良悪性の評価には、内部の均一性、脂質量、輪郭、過去画像からの増大を使います。また、見た目が良性に近くてもホルモンを作る腫瘍があり、画像と血液・尿検査は別々の役割を持ちます。

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均一で単純CT10HU以下なら脂質を含む腺腫に合います

副腎偶発腫で最初に注目される画像情報が、造影剤を使わない単純CTのCT値です。CT値は組織の密度をHUという単位で表し、副腎皮質腺腫の多くは細胞内に脂質を含むため低い値になります。

2023年の欧州内分泌学会ガイドラインは、内部が均一で単純CTが10HU以下の副腎腫瘤について、良性病変に合う所見として扱い、大きさにかかわらず追加画像を省ける考え方を示しました[1]。以前は4cmという大きさが強調されていましたが、現在は均一性と単純CT値の組み合わせがより重視されています。

ただし、CT値は造影後の画像では意味が変わります。結果表に「10HU」と書かれていても、単純CTで測った値か、造影後の値かによって評価方法が異なります。撮影条件と腫瘤内部の均一性を同じ画面で確認することが、画像評価の最初に確認する事項です。

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11HU以上や不均一な腫瘤は追加画像で性質を調べます

単純CTが11〜20HU、20HUを超える、内部が不均一、輪郭が不整といった場合には、脂質の少ない腺腫、褐色細胞腫、転移、副腎皮質がんなど複数の候補が残ります。ここでは大きさ、過去画像との比較、造影剤の抜け方、MRIの信号が判断材料になります。

造影CTでは、腫瘤へ入った造影剤が時間とともにどれほど抜けるかを測るウォッシュアウト法が用いられます。MRIのchemical shift imagingは、細胞内脂質を別の方法で確かめます。どちらも良性腺腫を支持する情報であり、腫瘤の均一性や過去画像と組み合わせることで診断精度が高まります。

4cmを超え、内部が不均一、単純CTが20HUを超える腫瘤では悪性の可能性が上がり、手術を含む方針が検討されます[1]。反対に、小さく均一でもホルモン産生があれば、画像の良性らしさとは別の理由で治療の意味が生まれます。

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1mgデキサメタゾン抑制試験でコルチゾールを評価します

副腎偶発腫では、見た目にクッシング症候群の特徴が乏しくても、コルチゾールが体の調節から少し外れて作られています。夜にデキサメタゾン1mgを内服し、翌朝の血中コルチゾールを測る試験が、その自律性を調べる基本検査です[1][5]。

翌朝のコルチゾールが1.8µg/dL以下なら、自律的な分泌は抑制されていると判定します。1.8µg/dLを超え、明らかなクッシング症候群の外見がない状態は、mild autonomous cortisol secretion、略してMACSと呼ばれます。

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MACSでは高血圧、糖尿病、骨粗鬆症を確認します

MACSの臨床的な意味は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症、心血管疾患との関連にあります[3][4]。検査値とともに、これらの持病がどの程度あり、治療で改善する可能性があるかが方針へ関わります。

前向き研究では、非機能性と判定された副腎偶発腫でも糖代謝異常が増える関連が報告され、MACSの評価では1回のコルチゾール値に加えて、糖尿病や血圧の経過まで含める必要があります[7]。自律性コルチゾール分泌と心血管転帰をまとめた研究も、併存症を手術判断へ組み込む根拠になっています[9]。

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褐色細胞腫は画像条件に応じてメタネフリンを測ります

褐色細胞腫は、アドレナリンやノルアドレナリンに関わるカテコールアミンを作る腫瘍です。動悸、頭痛、発汗、血圧上昇が発作的に起こる姿が知られていますが、画像で偶然見つかった人では症状が目立たない場合もあります。

検査には血中遊離メタネフリンまたは尿中分画メタネフリンが使われます。2023年ガイドラインでは、単純CTで均一かつ10HU以下という典型的な脂質含有腺腫では褐色細胞腫の可能性が非常に低く、全例のメタネフリン測定を省く考え方が示されました[1][6]。

単純CTが10HUを超える、撮影条件が不明、内部が不均一といった所見があれば、症状の有無にかかわらず生化学検査を行います。褐色細胞腫を除外する前の針生検や手術操作は、カテコールアミン放出による血圧変動へつながる可能性があり、検査の順序が重要です。

多施設診断研究では、単純CTが10HU以下の均一な病変で褐色細胞腫を除外できる精度が高く、症状の有無より撮影条件を確かめる実務を支持しました[8]。ただし、造影後画像のCT値や不均一な腫瘤へ同じ結論は適用困難です。

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高血圧・低カリウム血症ではアルドステロンを調べます

副腎からアルドステロンが過剰に作られる原発性アルドステロン症では、ナトリウムが体内へ保たれ、カリウムが尿へ出やすくなります。高血圧がある人、原因のはっきりしない低カリウム血症がある人では、血中アルドステロンとレニンを測り、その比を確かめます[1][5]。

カリウム正常の原発性アルドステロン症もあるため、高血圧があればアルドステロン・レニン比を確認します。また、利尿薬、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬などはアルドステロン・レニン比へ影響し、服用薬を含めた解釈が必要です。

副腎腫瘤が片側に見えても、ホルモンがその腫瘤だけから出ているかは別の問題です。手術を考える段階では、副腎静脈サンプリングなどで左右差を確認します。画像上の左右差とホルモン分泌の左右差は一致しないため、副腎静脈サンプリングで確認します。

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悪性を疑う画像とホルモン過剰が手術理由になります

手術の意味が大きくなるのは、副腎皮質がんを疑う画像、褐色細胞腫、明らかなコルチゾール過剰、片側性の原発性アルドステロン症などです。画像上は良性腺腫でも、ホルモン過剰が全身へ影響していれば、機能性腫瘍として治療が検討されます。

MACSでは、全員へ同じ方針が置かれるより、高血圧や糖尿病の程度、年齢、手術リスク、片側病変か、ホルモン異常が持続しているかが組み合わされます[1][4]。手術後に血圧や血糖が改善しても、長年の動脈硬化や体質の影響で薬物治療が続く患者もいます。

両側副腎腫瘤では、片側を切除した後のホルモン環境や、両側に別々の病態がないかを考えます。手術適応は、悪性を疑う画像所見とホルモン過剰による全身影響から決めます。

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良性・非機能性と確認できれば反復検査を減らせます

均一で単純CT10HU以下、ホルモン過剰がない腫瘤では、追加画像や毎年のホルモン検査を繰り返す利益が小さいと考えられています[1]。自然経過のメタ解析では、平均約4年の追跡で10mm以上増大した割合は約2.5%、副腎皮質がんへの変化は0例でした[2]。

画像が典型的な良性へ届かない場合には、6〜12か月後の単純CTまたはMRIで増大を確認する方法があります。最大径が20%以上かつ5mm以上増えた変化は、再評価の目安として用いられます[1]。

ホルモン検査も、最初に正常であれば毎年一律に繰り返すより、高血圧、糖尿病、低カリウム血症、クッシング様の変化が新しく現れた時に再評価する方向です。初回の画像とホルモン評価を精密に行い、その後は新たな変化に応じて再検査します。

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針生検は転移の確認など限られた場面で検討します

副腎腫瘤の良悪性判定では、針生検より画像とホルモン評価を先に行います。ところが、副腎皮質腺腫と副腎皮質がんは組織の一部だけでは区別が難しく、腫瘍全体の浸潤や血管への広がりが診断へ関わります。

針生検が検討されるのは、肺がんなど副腎以外の悪性腫瘍があり、副腎転移かどうかで治療方針が変わる場面などです。それでも、画像で褐色細胞腫が否定できない状態では、先にメタネフリン検査が置かれます[1][5]。

副腎偶発腫の診断は、すぐに組織を採る方法より、単純CT値、均一性、ホルモン検査、過去画像を組み合わせる形が中心です。検査の順番そのものが、安全性と診断精度へ影響する領域です。

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まとめ

副腎偶発腫では、単純CTのHU値と内部の均一性で画像上の良性度を評価し、ホルモン検査でコルチゾール、カテコールアミン、アルドステロンの過剰を調べます。均一で単純CT10HU以下の腫瘤は脂質を含む腺腫に合い、追加画像を省けます。11HU以上、不均一、増大を示す腫瘤はMRIや造影CT、手術適応の検討へ進みます。1mgデキサメタゾン抑制試験でMACSを判定し、高血圧や糖尿病への影響を含めて治療を選びます。良性・非機能性と十分に確認できた後は、一律の長期反復検査を減らせます。