波のある脇腹痛には、尿管の閉塞を考えます
突然の脇腹痛で、じっとしていても楽にならず困っていませんか? 発熱や悪寒を伴う、尿がほとんど出ない、血圧低下や意識変化がある場合は直ちに、嘔吐で水分や内服が取れない場合は当日中の評価が必要です。
尿管結石の典型的な痛みは、片側の脇腹や背中に突然始まり、下腹部や鼠径部へ移ります。尿管の収縮と上流側の圧上昇により、痛みは強弱を繰り返します。悪心、嘔吐、頻尿、血尿を伴う人もいます。小さな石でも尿管を塞げば激しく痛みます。石径と位置は画像で測ります。
大動脈疾患、胆嚢炎、虫垂炎、卵巣捻転、異所性妊娠、腎梗塞も似た場所に痛みを起こします。高齢者、妊娠の可能性がある人、血圧低下を伴う人、腹部手術歴がある人、圧痛の位置が典型像から外れる人では鑑別を広げます。尿潜血は結石を支持する所見ですが、陰性例もあります。発症の速さ、痛みの移動、発熱、尿量を確認して画像検査へ進みます。
発熱と閉塞が重なれば、尿を逃がす処置を急ぎます
結石で塞がれた尿路へ細菌感染が加わると、腎盂内圧が上がり、菌血症から敗血症へ進みます。発熱、悪寒、頻呼吸、血圧低下、意識変化、膿尿があれば感染性閉塞を疑います。抗菌薬を開始するとともに、尿管ステントまたは腎瘻で感染した尿を排出します。
全国データを用いた解析では、閉塞性尿路結石に敗血症を伴う患者で、ドレナージを行わなかったことが死亡率上昇と関連しました[1]。観察研究の限界はありますが、感染源制御を早く行う臨床判断を支持します。石を砕く処置は全身状態と感染が落ち着いた後に行います。単腎、両側閉塞、腎機能悪化、鎮痛不能、嘔吐で内服できない状態も、緊急処置を考える条件です。
画像は、被曝と必要な情報を比べて選びます
非造影単純CTは結石の位置、大きさ、密度、水腎症を高い精度で示し、結石以外の腹部疾患も評価できます。若い再発患者では低線量CTを選び、過去画像と比較して撮影回数を抑えます。超音波は被曝がなく、水腎症、腎結石、膀胱に近い結石を観察できます。小さな尿管結石を直接見つけにくい点が限界です。
妊娠中は超音波から始め、診断が難しい場合にMRIなどを検討します。画像では石径をどの断面で測ったか、上・中・下部尿管のどこにあるか、皮膚から石までの距離、CT値を確認します。これらは自然排石、体外衝撃波、尿管鏡手術の選択へ影響します。発熱例では水腎症が軽く見えても、感染性閉塞の可能性を臨床所見とともに評価します。
鎮痛後も、体温・尿量・腎機能を見直します
腎疝痛の無作為試験をまとめた解析では、NSAIDsはオピオイドと同等以上の鎮痛を示し、嘔吐や追加鎮痛が少ない傾向でした[2][3]。腎機能低下、消化管潰瘍、抗凝固療法、妊娠などではNSAIDsを使いにくく、アセトアミノフェンやオピオイドを選びます。
閉塞した腎盂へ大量の水分を送り込むと、圧と痛みが増す可能性があります。脱水を補う範囲を超えた強制飲水は行いません。痛みが軽くなった後も、発熱、尿量、クレアチニンを再確認します。完全閉塞でも痛みが一時的に落ち着く例があり、無痛になったことは排石の証明になりません。石を回収できなかった人は、画像や水腎症の消失で通過を確認します。
自然排石を待てる期間は、石径と位置で見積もります
尿管径に対して石が小さく、下部尿管まで移動しているほど自然通過の見込みは高まります。CTを用いた研究でも、石の大きさと位置が通過率を予測しました[4]。5mm以下という数字だけで排石を保証することはできず、尿管壁の浮腫、解剖、症状が続いた期間も影響します。
α遮断薬による排石促進の研究結果は均一ではありません。SUSPEND試験では全体として明確な利益が示されず[5]、別の無作為試験では比較的大きな遠位尿管結石に利益がみられる可能性が示されました[6]。感染がなく、腎機能が保たれ、痛みを内服で管理できる人に経過観察を選びます。数週間以内に石の位置、水腎症、腎機能を確認し、待機の期限を決めます。
体外衝撃波と尿管鏡では、治療後の過ごし方も違います
ESWLは体外から衝撃波を石へ集め、砕片の自然排出を促します。侵襲が比較的小さい反面、石の硬さ、位置、皮膚からの距離によって効果が変わり、複数回の治療を要する人もいます。尿管鏡手術は内視鏡で石を直接破砕・回収し、一度で除去できる確率が高くなります。麻酔、尿管損傷、感染、術後ステントの不快感を伴います。
腎結石の大きさと位置によっては、経皮的腎砕石術を選びます。自然排石の見込み、感染、腎機能、抗凝固薬、妊娠、仕事や渡航予定、再治療を許容できるかを話し合います[8][9]。無症状の腎結石は経過観察できる例もあり、増大、感染、閉塞、職業上の制約がある場合に介入を考えます。
排石した石は、成分分析へ回します
排出または摘出した石は成分分析へ提出します。カルシウム系、尿酸、感染性、シスチンでは再発予防の内容が違います。反復例、若年発症、両側・多発、単腎、腎機能低下、全身疾患がある人には、血液検査と24時間尿検査を行います。尿量、カルシウム、シュウ酸、尿酸、クエン酸、ナトリウム、pHを測ります。
再発性カルシウム結石を対象にした無作為試験では、水分摂取を増やして尿量を確保した群で再発が減りました[7]。食事カルシウムを極端に減らすと、腸管からのシュウ酸吸収が増えます。通常は食事から適量を摂り、塩分と動物性蛋白の過剰を調整します。検査値に応じてクエン酸製剤、サイアザイド、尿酸管理を選びます。
石成分と尿pHから、薬物予防を決めます
尿酸結石は酸性尿で形成されやすく、クエン酸製剤などで尿をアルカリ化すると溶解と再発予防を期待できます。尿pHを上げすぎるとリン酸カルシウム結石ができやすくなるため、家庭で測る尿pHと血液検査を使って調整します。感染結石では尿素分解菌と残石が再発に関わり、残石の除去と感染管理を組み合わせます。
シスチン結石は若い時期から反復しやすく、十分な尿量、尿アルカリ化、必要時のチオール薬を用います。腸疾患や肥満手術後の吸収変化、遠位型尿細管性アシドーシス、副甲状腺機能亢進症も二次性原因です。石の成分を確認してから食事と薬を選ぶと、不要な制限を減らせます。
自宅待機中は、再受診の時刻を決めておきます
発熱、悪寒、意識変化、尿量低下、単腎の閉塞は直ちに評価します。鎮痛薬を使っても痛みが続く、嘔吐で内服や水分摂取ができない場合は当日中に再診します。安定して自然排石を待つ人も、石が見えなくなっただけで終了せず、排石または水腎症の消失を確認します。
自宅では体温、痛みの続いた時間、尿量、服薬時刻を記録します。可能なら尿をフィルターへ通し、石を回収します。排石後は初回でも血液・尿検査を行い、再発例では代謝評価へ進みます。今回の痛みを止める処置と、腎機能を守り次の石を減らす計画を分けて進めます。
まとめ
尿路結石では、痛みの強さより、発熱・悪寒、腎機能、単腎、尿量低下を確認します。感染を伴う閉塞には抗菌薬と尿管ステントまたは腎瘻によるドレナージが必要です。安定例ではCTや超音波で石径、位置、水腎症を見て、NSAIDsを中心に鎮痛しながら自然排石の期間を決めます。ESWLと尿管鏡は成功率、侵襲、再治療の可能性を比べます。排出した石を分析し、24時間尿の結果に合わせて水分、塩分、薬を調整します。自宅待機を選んだ人にも、再画像と腎機能確認の日を先に決め、予約票へ残しておきます。排石の確認までを今回の診療に含めます。
参考資料
- [1] Borofsky MS, et al. Surgical decompression is associated with decreased mortality in sepsis and ureteral calculi. J Urol. 2013. ↗
- [2] Pathan SA, et al. NSAIDs, opioids and paracetamol in acute renal colic: network meta-analysis. 2018. ↗
- [3] Holdgate A, Pollock T. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs versus opioids for acute renal colic. BMJ. 2004. ↗
- [4] Jendeberg J, et al. Size and location of a ureteral stone predict spontaneous passage. Eur Radiol. 2017. ↗
- [5] Pickard R, et al. Medical expulsive therapy in adults with ureteric colic: SUSPEND trial. Lancet. 2015. ↗
- [6] Furyk JS, et al. Distal ureteric stones and tamsulosin: double-blind randomized trial. Ann Emerg Med. 2016. ↗
- [7] Borghi L, et al. Urinary volume, water and recurrences in idiopathic calcium nephrolithiasis: randomized study. J Urol. 1996. ↗
- [8] EAU Guidelines on Urolithiasis. 2026. ↗
- [9] AUA Kidney Stones: Surgical Management Guideline. ↗



