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睾丸の後ろが痛い・腫れる:精巣上体炎の症状

精巣の後ろ側から痛みと腫れが広がる精巣上体炎について、精巣捻転との違い、性感染症と尿路感染、検査と回復経過を解説します。

対になる楕円形の紙片の一方の後縁を赤銅色の細いリボンが沿い、精巣上体の痛みと腫れを表した概念図
身体部位や炎症を直接描かず、片側の後方へ生じる変化を、対になる形と縁に沿う温かい色で表現しています。© Uro Care 医学編集部
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片側の陰嚢痛と腫れが、数日かけて強くなります

精巣の上から後ろへ沿うように硬さと痛みが出て、次第に陰嚢全体が腫れてくる。歩く振動や下着が触れるだけで響き、発熱や排尿時のしみる感覚が加わります。精巣上体炎は、精子が通る精巣上体に炎症が起こった状態です。

精巣上体は精巣の後面に細長く付着し、精子を成熟させながら精管へ送ります。炎症は尾部から始まることが多く、触れると精巣の後ろに強い圧痛を感じます。進行すると精巣にも炎症が及び、精巣上体精巣炎と呼ばれる状態になります。

EAUガイドラインでは、急性精巣上体炎を片側の痛み、触知できる腫脹、局所の熱感が数日かけて悪化する病態と説明しています[1]。突然ピークへ達する痛みより、時間を追って強くなる経過が典型です。

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突然の激痛と嘔気では精巣捻転を先に除外します

精巣捻転は精索がねじれ、精巣への血流が急に途絶える病気です。精巣上体炎と同じく片側の陰嚢痛と腫れを起こしますが、精巣捻転では発症時刻が分かるほど突然始まり、吐き気や嘔吐を伴います。

精巣上体炎では痛みが数時間から数日かけて強まり、排尿症状や発熱が加わる傾向があります。症状だけで完全に区別できる例は限られ、若い男性の急性陰嚢痛では精巣捻転を最優先に除外します[1][3]。

陰嚢超音波では、精巣上体炎で精巣上体の腫大と血流増加がみられ、精巣捻転では精巣血流の低下を判断に使います。超音波は有用ですが、強く捻転が疑われる場合に検査で時間を費やすことの意味も同時に考えられます。

造影超音波研究は急性陰嚢疾患の血流を評価しました。突然の激痛で精巣捻転を疑う時は、画像待ちより手術判断を優先します[7]。

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性感染症と腸内細菌は、年齢より感染経路で分けます

精巣上体炎の多くは、尿道や膀胱にいる病原体が精管を逆行し、精巣上体へ到達して起こります。血液から直接感染するより、下部尿路から上がる経路が中心です。

性感染症が背景にある時は、クラミジアと淋菌に加え、M. genitaliumも病原体候補です。尿道分泌物や排尿開始時の痛みが目立つこともあれば、尿道症状が乏しいまま陰嚢痛だけが現れます。

腸内細菌による精巣上体炎では大腸菌などのEnterobacteralesが多く、前立腺肥大症、残尿、神経因性膀胱、尿道カテーテル、内視鏡処置などが背景にあります[1]。病原体はいずれも尿道から侵入しますが、性感染症と尿路感染で検査・薬剤が分かれます。

若い男性では性感染症、高齢男性では大腸菌という説明がよく使われます。大まかな傾向としては役立つものの、実際の原因は性行動、排尿状態、手術歴、肛門性交、カテーテル歴によって変わります。

35歳を超える男性の研究では腸内細菌が多数を占めたものの、性感染症関連病原体も検出され、年齢のみで検査を省く限界が示されました[2]。反対に、若い男性でも尿路奇形、残尿、処置後であれば腸内細菌が関わります。

原因を考える際には、年齢より、尿道分泌物、新しい性パートナー、排尿困難、尿路感染歴、前立腺肥大症、直近のカテーテルや内視鏡という具体的な情報を並べる方が正確です。

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尿培養と初尿の核酸増幅検査は調べる菌が異なります

中間尿の培養は、大腸菌など尿路由来の細菌を調べ、どの抗菌薬が効きやすいかを確認します。クラミジア・淋菌は排尿開始時の初尿で核酸増幅検査を行い、尿道内の病原体を検出します。

同じ尿検査でも採るタイミングと目的が異なります。EAUガイドラインは、急性精巣上体炎で中間尿培養と、初尿または尿道ぬぐい液による性感染症検査を組み合わせるよう示しています[1]。

血液検査では炎症反応を確認し、超音波では膿瘍、精巣への波及、水腫、腫瘍性病変を見ます。前向き研究では、精巣上体の腫大と血流増加、反応性陰嚢水腫がよくみられ、治療後には多くの所見が改善しました[4]。

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抗菌薬は想定する病原体と地域の耐性率から選びます

治療開始時には、検査結果が出る前に最も可能性の高い病原体を想定します。クラミジアと腸内細菌の両方が考えられる場合、両者を覆う組み合わせが使われます。淋菌の可能性が高い場合には、淋菌へ有効な注射薬とクラミジアへ働く薬を組み合わせます[1]。

排尿障害や尿路処置を背景とする腸内細菌型では、尿培養と地域の薬剤耐性を踏まえた薬が選ばれます。抗菌薬の名前だけを覚えるより、どの病原体を想定し、培養結果でどのように調整するかが治療の中心です。

鎮痛薬、陰嚢を支える下着、横になった時の挙上は、炎症が落ち着くまでの痛みと牽引感を軽くする目的で使われます。抗菌薬で細菌が減っても、腫れと硬さはすぐに消えず、数週間残ります。

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解熱後もしこりや鈍痛は数週残り得ます

急性期を過ぎても、精巣上体が硬く触れたり、動いた後に鈍い痛みが戻ります。解熱が先行し、浮腫と組織肥厚は遅れて改善します。

追跡超音波の研究では、多くの患者が精巣上体炎として矛盾しない経過を示しました。症状が続いた若い男性の一部では、精巣腫瘍など別の病変が見つかっています[5]。治療後も局所の腫瘤が明瞭に残る場合は、炎症後変化と別の病変を区別する意味があります。

3か月以上続く局所痛は慢性精巣上体炎または慢性陰嚢痛として扱われ、急性感染とは異なる視点が加わります。抗菌薬を繰り返すより、神経、骨盤底筋、精索、過去の手術などを含む痛みの評価へ移ります。

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両側炎症や慢性化では精子輸送への影響を確認します

精巣上体は精子の成熟と輸送を担うため、強い炎症が両側に起こり、瘢痕や閉塞が残ると妊孕性へ影響する可能性も考慮します。慢性精巣上体炎では精子濃度や運動率の低下との関連が示されました[6]。

片側の急性精巣上体炎を1回発症しても、反対側の精巣上体が保たれれば精子輸送は維持されます。反対側の精巣上体が保たれ、炎症が速やかに落ち着けば、精子輸送は維持されることが多いでしょう。

両側性、反復性、精液量の低下、不妊検査中という背景では、炎症が治まった後の精液検査や超音波所見が意味を持ちます。急性期の痛みと、将来の精子輸送を同じ問題として扱うより、時間を分けて見ることで不必要な不安を減らせます。

急性精巣上体炎の研究は精子蛋白の変化を示しました。将来の不妊率を評価対象に含まない研究です[8]。

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性感染症が判明したらパートナーの検査も行います

クラミジアや淋菌による精巣上体炎では、尿道炎の症状が軽くても感染が残っているパートナーがいる可能性も考慮します。本人の痛みが軽くなった後に再び感染すると、尿道炎や精巣上体炎を繰り返す流れが生まれます。

性感染症検査は、陰嚢痛の原因を特定するに加えて、感染経路と再感染の可能性を考える情報です。初尿からクラミジアや淋菌が検出された場合には、尿培養で大腸菌が見つかった場合とは異なる感染管理が行われます[1]。

また、淋菌とクラミジアが同時に存在することもあり、片方だけを想定した治療では病原体が残ります。痛みは精巣上体に現れますが、病原体は尿道から侵入します。陰嚢所見と尿道検査を一続きで評価します。

検査結果は、抗菌薬の選択に加えて再発を防ぐ流れにもつながります。

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まとめ

精巣上体炎は片側の陰嚢痛と腫れが数日かけて強くなる感染症で、突然始まる激痛や嘔気では精巣捻転を最初に除外します。尿培養は腸内細菌、初尿の核酸増幅検査はクラミジア・淋菌を調べるため、両方の結果が抗菌薬選択に役立ちます。解熱後もしこりや鈍痛が数週残り得ます。腫れが増す、発熱が続く、硬い腫瘤が残る時は膿瘍や精巣腫瘍を超音波で再評価します。性感染症が判明した時はパートナーの検査・治療まで含めます。