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陰嚢が大きい・水がたまった感じがする:陰嚢水腫とは

片側の陰嚢が大きい、水風船のように重いと感じる陰嚢水腫について、精巣腫瘍や鼠径ヘルニアとの違い、検査と治療を解説します。

対になる2つの紙の形の一方だけを大きな半透明の水色の殻が包み、陰嚢水腫で液体がたまる状態を表した概念図
陰嚢や精巣を写実的に描かず、片側の周囲へ液体がたまる違いを、対になる形と透明な外殻で表現しています。© Uro Care 医学編集部
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液体は精巣を包む鞘膜内にたまります

片側の陰嚢が徐々に大きくなり、触ると硬い塊というより水風船のように張っている。痛みは弱いものの、歩く時や座る時に重さが気になる。このような変化でよく見つかるのが陰嚢水腫です。

精巣は、薄い膜でできた袋の中に入っています。陰嚢水腫では、この精巣鞘膜の2枚の層の間へ漿液がたまり、精巣を外側から包むように膨らみます[1]。そのため、本人には「睾丸そのものが何倍にもなった」ように感じられても、実際には精巣の周囲に液体の空間が広がっています。

液体の量が少ない段階では左右差だけが目立ち、増えると陰嚢のしわが伸び、輪郭が滑らかになります。多くは片側性ですが、両側に生じる患者もいます。

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成人では原発性と、炎症・外傷後の続発性に分かれます

成人で最も多いのは、精巣鞘膜から作られる液体と吸収される液体のバランスが崩れ、明確なきっかけなく増える原発性陰嚢水腫です。数か月から数年かけてゆっくり大きくなります。

精巣上体炎、精巣炎、外傷、精巣捻転、精巣腫瘍、鼠径部や陰嚢の手術後に液体が増えたものは続発性水腫です[1]。この場合、水腫そのものより、周囲の炎症や腫瘍が先に存在しています。

急に痛みと腫れが出た場合や、発熱、赤み、硬い部分が重なる場合は、長い時間をかけてできた原発性水腫とは異なる経過です。増大速度と痛みの有無から原因を絞ります。

成人集団の疫学研究では、水腫と精液瘤の発生、治療、合併症が別々に集計されており、陰嚢腫大を一括して扱わない重要性が分かります[9]。

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超音波で液体、精巣実質、ヘルニアを同時に確認します

暗い場所で陰嚢へ光を当てると、透明な液体がたまった水腫は赤く透けて見えます。これを透光性と呼び、液体性の腫れを考える簡単な確認法として使われてきました。

ただし、液体の中に血液や炎症成分が混じると光を通しにくくなり、大きな水腫では精巣そのものを触り分けにくくなります。鼠径ヘルニアや嚢胞性腫瘤も触診だけでは似て見えます。

陰嚢超音波では、液体の量、精巣の形と血流、精巣上体、鼠径部との連続性を同時に観察できます[2][3]。精巣腫瘍が疑われる場合に両側精巣の超音波が強く推奨されるのも、精巣内部の病変と周囲の液体を分けて見られるためです[2]。

精巣腫瘍は精巣の内部に硬い腫瘤を作ることが多く、陰嚢水腫は精巣の外側を液体が包みます。大きな水腫では硬い部分を指で確かめにくくなるため、痛みがないという共通点だけで両者を分けることは難しいでしょう。

鼠径ヘルニアでは、腹腔内の腸や脂肪が鼠径管を通って陰嚢側へ下がります。立位や腹圧で大きくなり、横になると小さくなる、鼠径部から連続した膨らみがあるという変化を判断に使います。成人の閉鎖性陰嚢水腫は、姿勢を変えても大きさがほぼ一定です。

精索静脈瘤では、立った時に陰嚢上部へ軟らかな血管の集まりを触れ、通常は左側に多くみられます。超音波では、水腫を液体、腫瘍を実質、ヘルニアを腸管、静脈瘤を血流として区別します。

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小さく安定した水腫は、大きさと生活への影響を追います

陰嚢水腫は、存在するだけで精巣を傷つける病気以外の経過もみられます。痛みや歩行時の不便が乏しく、超音波で精巣に異常が見えない小さな水腫では、サイズの変化を追う方法が取られます。

水分を控えたり利尿薬を使ったりしても、精巣鞘膜の中の液体だけを選んで減らす仕組みにはつながりにくく、体全体のむくみとは治療の考え方が異なります。陰嚢を支える下着によって揺れや重さが軽く感じられる場合はあるものの、液体量への変化は限られます。

大きさが増え、衣服に収まりにくい、座ると圧迫される、歩行や運動で擦れる、陰嚢皮膚が蒸れるといった生活上の負担が強くなると、液体をためる袋へ処置する意味が大きくなります。

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根治術では液体を除き、再びたまる袋を処理します

標準的な治療は陰嚢水腫根治術です。陰嚢を切開し、液体を排出した後、精巣鞘膜を切除する、裏返して縫う、折りたたむなどの方法で、再び液体がたまりにくい形へ変えます。

術式は水腫の大きさ、膜の厚さ、炎症歴、手術歴によって選ばれます。手術後は、皮下出血、血腫、感染、浮腫、痛み、再発などが起こる可能性も考慮します。フィンランドの多施設研究では、866件の手術のうち90日以内に中等度以上の合併症が16.1%に記録され、予定外の連絡や再処置を含む術後負担が示されました[4]。

この数字は血腫、感染、再処置を含む合併症率です。良性疾患の手術では、治療前の不便さと術後回復の負担を具体的に比べることが大切になります。

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吸引・硬化療法は身体負担と再発率を比べて選びます

局所麻酔で針を刺して液体を抜き、再貯留を抑える硬化剤を注入する吸引・硬化療法があります。切開手術より短時間で行いやすく、全身麻酔や手術の負担が大きい場合に選ばれます。

2023年のメタ解析では臨床的治癒率に明確な差を認めず、再発は吸引・硬化療法で明らかに多い結果でした[5]。複数回の処置が必要になる患者もいます。

ポリドカノールを使った無作為化試験では、硬化療法が長期的にも有効であることが示されましたが、1回で十分な患者と再注入が必要な患者が分かれました[6]。短い回復期間を重視するか、再発を抑える確実性を重視するかによって、処置の意味が変わります。

手術と穿刺硬化療法を比較した無作為化試験では、回復の速さと再発のしやすさが逆方向の利点として現れました[7]。近年の症例集積でも、低侵襲性と再治療の可能性を両方示して選択しています[8]。

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巨大水腫では精巣体積と妊孕性も確認します

水腫が非常に大きくなると、精巣が圧迫され、周囲の温度や血流環境が変わる可能性も考慮します。強い張りや重さがある場合には、精巣実質が均一に保たれているか、炎症や腫瘤が隠れていないかを超音波で確認します。

長期水腫と精液所見の関連報告はありますが、成人水腫全体の不妊リスクを定量化する資料は不足しています。妊孕性を考える場合には、水腫の大きさに加えて、両側精巣の体積、精索静脈瘤、精液検査などを別々に見ます。

また、手術後もしばらく陰嚢の腫れが残り、液体がすぐ再発したように感じます。術後浮腫や血腫と本当の再貯留は時間経過が異なるため、手術前の大きさと回復途中の変化を分けて捉える必要があります。

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術後の浮腫・血腫と再発は、張りと増え方で区別します

陰嚢水腫根治術の直後は、液体を取り除いても組織の浮腫や皮下出血が残るため、陰嚢がすぐ元の大きさへ戻る以外の経過もみられます。手術前の張った水腫とは異なり、触るとやや硬く、色調が変化しながら数週間かけて軽くなります。

陰嚢は重力の影響を受けやすく、立位や長時間の歩行で夕方に腫れが強まります。術後の支持下着や活動量の調整は、液体の再発を治すというより、浮腫と揺れによる不快感を抑える目的です。

時間とともに波動を感じる液体貯留が再び増える時は、術後浮腫、血腫、再発を区別します。回復途中の腫れを水腫の再発と同じものとして捉えると、術後経過の見え方が分かりにくくなります。

回復の評価では、日ごとの色調と張りの変化も判断に使います。

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まとめ

陰嚢水腫は精巣を包む鞘膜内へ液体がたまる状態で、超音波によって精巣腫瘍、鼠径ヘルニア、精索静脈瘤と区別します。小さく安定し、痛みや生活上の不便が乏しい水腫は大きさを追跡します。歩行、衣服、性交、診察の妨げになる水腫には根治術を検討します。吸引・硬化療法は身体負担を抑えられますが、手術より再貯留が多い方法です。術後の浮腫や血腫と再発は、張りと増え方から見分けます。