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男性もHPVワクチンを受ける意味はある?予防できる病気

男性のHPV感染と9価ワクチンについて、尖圭コンジローマ、肛門・陰茎・中咽頭がんとの関係、国内承認、接種回数、公費対象を解説します。

右向きの男性の横顔を大きな金色の保護の輪が囲み、外側に並ぶ3つの小さな紙の印がHPVワクチンによる予防を表した概念図
注射やウイルス、病変を描かず、男性にも関係する複数の病気を将来に向けて予防する考え方を、人物の横顔と保護の輪で表現しています。© Uro Care 医学編集部
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男性にも起こるHPV関連病変

HPVはヒトパピローマウイルスの略で、性器、肛門、口腔・咽頭などの皮膚や粘膜へ感染します。多くの感染は免疫により自然に消えますが、一部が長く残ると、いぼや前がん病変、がんへ進展します。

男性では尖圭コンジローマのほか、肛門がん、陰茎がん、中咽頭がんとの関連が知られています。EAUの陰茎がんガイドラインも、一部の陰茎扁平上皮がんが高リスクHPV感染と関係することを示しています[1]。

男性への接種は、尖圭コンジローマやHPV関連がんを本人に起こりにくくし、パートナーへ感染させる機会も減らします。

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日本で男性へ使える9価ワクチン

日本では2025年に9価HPVワクチンの適応が男性へ拡大され、9歳以上の男性が接種対象になりました[8]。9歳以上15歳未満で初回接種を受ける場合は2回、15歳以上で開始する場合は3回という年齢別スケジュールが基本です。免疫機能が低下する病気や治療がある人は、年齢にかかわらず3回接種で計画します。

日本人男性を対象にした4価ワクチンの無作為化試験では、HPV6・11・16・18型の持続感染が減り、高い抗体反応が示されました[4]。この結果は男性本人の感染予防を直接評価した国内集団の根拠です。現在、国内で男性にも使用できる9価製剤は、4価製剤より多くの高リスク型を予防対象に含みます。4価試験の疾患予防データと9価製剤の成績は分けて読みます。

2026年7月時点で、国の定期接種は小学校6年から高校1年相当の女子が対象です。男性は原則として任意接種で、費用助成の有無は自治体ごとに異なります[9]。薬事上の承認と公費制度は別の情報です。

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低リスク型と高リスク型

HPVには多くの型があり、6型と11型は尖圭コンジローマの主な原因です。16型、18型などの高リスク型は、細胞の増殖を調節する仕組みへ長く影響し、肛門・陰茎・中咽頭などのがんと関係します[1][2]。

「低リスク」はがんとの関連が低い分類です。尖圭コンジローマは良性でも、症状と治療負担を伴います。尖圭コンジローマは良性でも、治療後に再発し、外見や性生活への心理的な負担を生みます。

現在使われる多価ワクチンは、複数の低リスク型と高リスク型へ免疫を作ります。含まれる型が増えるほど、予防対象となるHPV関連病変の範囲も広がります。

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皮膚・粘膜の接触で広がる

HPVは感染した皮膚や粘膜同士の接触で広がり、膣性交や肛門性交に加え、性器周囲や口腔粘膜の接触でも感染します。

コンドームは覆う範囲の感染リスクを下げますが、覆われない皮膚からの感染は残ります。感染した相手にいぼや自覚症状がない時期にも伝播が起こります。

HPV感染は性生活を持つ多くの人が経験します。感染源の特定は難しく、予防では未感染型へのワクチン効果と本人の年齢・接種歴を確認します。

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既存病変の治療と新規感染予防を分ける

HPVワクチンは、感染力のないウイルス様粒子を用いて抗体を作る仕組みです。接種後に作られた抗体が、将来ウイルスへ接触した時の感染成立を防ぎます。

接種時に存在する尖圭コンジローマや持続感染には別の治療が必要です。ワクチンは未感染型による新規感染を予防します。過去に1つの型へ感染していても、ワクチンに含まれるほかの型へ免疫を作る余地があります。

予防効果が最も高くなるのは、HPVへ接触する前の時期です。性生活開始後も、未感染型に対する予防効果を期待できます。

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男性第3相試験で減った性器病変

16〜26歳の男性を対象にした無作為化試験では、4価HPVワクチンがHPV6・11・16・18型に関連する外性器病変と持続感染を減らしました[2]。

試験開始時に対象型へ感染しておらず、規定どおり接種した集団では、関連する外性器病変への有効率は約90%でした。既に感染している参加者も含む解析では有効率が低く見えました。既感染者を含む解析で有効率が下がった結果は、既存感染に対する治療効果がないというワクチンの性質を反映しています。

外性器病変の多くは尖圭コンジローマで、ワクチンによる効果はがん予防に加え、若い年代に起こりやすい良性病変にも現れました。

9価ワクチンを16〜26歳の男性と女性へ投与した第3相試験でも、抗体反応と安全性は男女で良好でした[7]。4価試験の疾患予防データと、9価試験の免疫原性を同じ種類の根拠として混ぜず、どの製剤・対象年齢の結果かを分けて読みます。

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男性間性交者で確認された肛門病変予防

男性間性交者602人を対象とした試験では、4価HPVワクチンがHPV6・11・16・18型に関連する肛門上皮内腫瘍を減らしました[3]。

規定どおり接種し、対象型へ感染していなかった集団では、関連する肛門上皮内腫瘍への有効率は77.5%でした。また、持続する肛門HPV感染も大きく減少しています[3]。

肛門がんは高リスクHPV、特に16型との関連が強く、前がん病変を減らすことは将来のがん予防へつながる生物学的な根拠になります。接種の検討では、肛門HPVへの曝露、年齢、免疫状態、本人の予防希望を確認します。

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開始年齢で変わる2回・3回接種

9〜14歳の男女を対象とした試験では、9価HPVワクチンを2回接種した群が、若年成人の3回接種群に劣らない抗体反応を示しました[5]。若い年代ほど免疫反応が強いことが、接種回数の違いにつながります。

10年間の追跡でも、9〜15歳で接種した男女に持続する免疫と高い予防効果が確認されています[6]。ワクチンの価値は短期間のいぼ予防に加え、感染から病変ができるまで長い時間がかかるがんを見据えた予防です。

必要な接種回数は、初回接種時の年齢と免疫機能で決まります。国内の9価製剤では9歳以上15歳未満で開始する2回法と、15歳以上で開始する3回法が区別されています[8]。年齢とともに既感染型が増えるため、集団としての上乗せ効果は小さくなりますが、未感染型への予防効果は期待できます。

免疫機能が低下する病気や治療がある人は3回接種で計画します。接種回数は初回接種時の年齢と免疫状態から決まります。

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男性の検査は病変部位ごとに選ぶ

女性の子宮頸がんでは、HPV検査や細胞診による検診が確立しています。一般男性に対して陰茎、肛門、中咽頭のHPV感染を一律に調べ、がんを早期発見する共通の検診方法は限られています。

HPV検査で感染が分かっても、その型が消える時期と病変へ進む人を個人単位で予測する方法は未確立です。一般男性向けの一律な検診が限られるため、感染前にワクチンを接種して予防します。

いぼや粘膜病変は視診や組織検査で診断し、ワクチン接種は年齢、接種歴、免疫状態を基に計画されます。

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注射部位反応と10年追跡

男性を対象にした試験では、接種部位の痛み、赤み、腫れが主な副反応でした。全身症状として発熱、頭痛、倦怠感がみられますが、ワクチン関連の重い有害事象はまれでした[2][3][4]。

ワクチン粒子は感染力を持たず、接種後はウイルスに似た構造へ免疫反応が作られます。接種後に病変が見つかる場合には、接種前から潜伏していた型や、ワクチンに含まれない型による感染が考えられます。

9価ワクチンの10年追跡では、若年男女で持続する抗体反応と、対象型による高グレード病変が確認されない状態が報告されました[6]。長期効果は接種直後の抗体値に加え、感染と病変の発生を継続的に追うことで評価されています。

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まとめ

HPVは男女の皮膚と粘膜へ感染し、男性では尖圭コンジローマ、肛門・陰茎・中咽頭の前がん病変やがんと関係します。男性を対象にした試験では、ワクチン型による外性器病変、持続感染、肛門上皮内腫瘍が減りました[2][3]。日本では9価ワクチンが9歳以上の男性にも承認され、開始年齢により2回または3回接種します[8]。2026年7月時点の国の定期接種対象は女子で、男性は任意接種が基本です[9]。既存のいぼを治す薬ではないため、未感染型への新規感染を防ぐ目的と、本人が得る利益を基に判断します。