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男性不妊の検査とは:精液検査で分かること

精液検査の精液量、精子濃度、総精子数、運動率、正常形態率を読み、再検、採取条件、無精子症、ホルモン・遺伝学的検査へ進む流れを解説します。

透明な観察皿の中を進む複数の小さな紙片と拡大リングによって、精液検査で量や動きを確かめる過程を表した概念図
精子を写実的に描かず、検体の中にある数や動きの違いを、観察皿と方向の異なる小片で表現しています。© Uro Care 医学編集部
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精液検査は、量・数・動き・形を組み合わせて読みます

精液検査には、精液量、精子濃度、総精子数、総運動率、前進運動率、正常形態率が並びます。各項目は妊娠までの過程の異なる部分を測っています。濃度が高くても精液量が少なければ総数は限られ、精子数が多くても前進運動率が低ければ卵子へ届く精子は減ります。

AUA/ASRMとEAUのガイドラインは、精液検査を男性側評価の基本とし、病歴、身体所見、女性側の年齢・卵巣機能と合わせて用います[1][2]。1項目の基準内/基準外から妊娠可能性を断定せず、複数の数値とカップルの状況から次の検査や生殖医療を選びます。

WHOの下限基準は、妊娠した男性集団の分布から定めた参考値です[1]。基準を1項目下回っただけで不妊の原因を確定せず、複数項目、再検結果、女性側の年齢と卵巣予備能を合わせて治療の急ぎ方を決めます。

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精子濃度と総精子数は、分母が違います

精子濃度は精液1mL中の精子数、総精子数は射出した精液全体の数です。総精子数は精液量と濃度から計算します。WHO第6版の基礎データでは、12か月以内に自然妊娠した男性集団の下位5パーセンタイルが、精液量1.4mL、濃度1,600万/mL、総数3,900万でした[2][3]。

妊娠の見通しは、この数値に女性側年齢、不妊期間、ほかの精液項目を加えて検討します。自然妊娠した集団の分布から得られた参考値です。精液量が少ない場合は、採取時のこぼれ、逆行性射精、射精管閉塞、精嚢形成異常、男性ホルモン低下を調べます。量、pH、濃度を一緒に見ると、精子産生と精路の情報を分けられます。

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運動率は、動く割合と前進する割合を分けます

総運動率は何らかの動きを示す精子、前進運動率は前方へ進む精子の割合です。WHO第6版の下位参考値は総運動率42%、前進運動率30%です[2][3]。運動率が高くても濃度と量が低ければ、前へ進む精子の総数は少なくなります。

精液量、濃度、運動率から総運動精子数を計算し、自然妊娠、人工授精、体外受精を検討する材料にします。採取から測定までの時間と温度は運動性へ影響します。検体が冷えた、指定時間を超えた場合は条件を結果票へ記録し、再検時にそろえます。

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正常形態率4%は、厳しい形態基準による参考値です

正常形態率は、頭部、中片部、尾部のすべてが厳格な基準に合う精子の割合です。WHO第6版の下位参考値は4%で、わずかな頭部形状や尾部の曲がりも基準外へ入ります[2][3]。検査者間の差も生じやすく、形態率単独の妊娠予測には限界があります。

形態率が低い時は、濃度、総運動精子数、女性側年齢、不妊期間を合わせます。ほぼ全精子に同じ特徴的な形態異常がある場合には、特定の遺伝的背景を調べます。4%という値の上下と、単一の強い形態異常を分けて評価します。

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異常値が出た精液検査は、条件をそろえて再検します

精子形成は発熱、睡眠、体重、喫煙、飲酒、薬剤、高温環境の影響を受けます。同じ人でも濃度や運動率は変動します。不妊カップルを対象にした研究では、1回目と2回目の分類が一致しない例があり、初回異常時の再検に意味がありました[4]。AUA/ASRMも複数回の精液検査を重視しています[1]。

高熱の影響は、精子が作られて射出されるまでの期間を通じて2〜3か月後の検査まで残ります。再検では禁欲日数、採取場所、全量採取の可否、発熱・薬剤を記録します。一時的な低下と普段の傾向を区別するための再検です。

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採取時に最初の精液がこぼれると、総数が低く出ます

一般に2〜7日程度の禁欲期間を設け、射出した全量を専用容器へ採取します。最初の分画には精子が多く含まれるため、こぼれた場合は濃度と総数が実際より低く見えます。潤滑剤や一般的なコンドームには精子運動へ影響する製品があるため、施設指定の方法を使います。

自宅採取では検体を冷やさず、指定時間内に検査室へ届けます。禁欲期間が長いほど量と精子数は増える傾向がありますが、運動率、形態、DNA断片化への影響は研究間で一定していません[6]。比較したい再検では前回と同じ条件をそろえます。

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無精子症では、遠心後の沈渣まで確認します

通常観察で精子が見つからない場合は、精液を遠心して沈渣を詳しく調べ、本当に0か、極少数が存在するかを確認します[1][2]。次に、精巣で作られた精子が精管・射精管を通れない閉塞性と、精巣内の産生が低下した非閉塞性を分けます。

少量で酸性の精液、正常な精巣体積、保たれたFSHは射精管・精管の閉塞を示唆します。小さな精巣と高いFSHは精子形成障害に合います。閉塞性では精路再建または精子回収、非閉塞性では顕微鏡下精巣内精子採取を検討します[7]。

射出精液量が少ない時は、採取不良に加えて逆行性射精、射精管閉塞、精嚢機能低下を検討します。射精後尿の精子、経直腸超音波、精液pHや果糖などを症例に応じて調べ、精子産生障害と通過障害を区別します。

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ホルモン検査と遺伝学的検査は、精子が少ない原因を絞ります

高度乏精子症、無精子症、小さな精巣、性欲・勃起の変化がある場合はFSHとテストステロンを測ります[1][2]。精巣の精子形成が低下すると、下垂体からのFSHが高くなる傾向があります。FSH、LH、テストステロンがいずれも低ければ、視床下部・下垂体からの刺激不足を考えます。

ホルモン値は採血時刻、肥満、急性疾患、薬剤の影響も受けます。精液所見、精巣体積、二次性徴と合わせて、精巣そのものの障害か、ホルモン刺激の不足かを調べます。原因に応じて、ホルモン治療、精子回収、生殖補助医療の方法が変わります。

染色体検査とY染色体微小欠失検査は、高度乏精子症や非閉塞性無精子症で用います。Y染色体微小欠失の部位によっては、精巣内精子採取で精子を得られる見込みが大きく変わります。顕微授精で男児へ変化が受け継がれる可能性も説明します。

系統的レビューでは、精子濃度が比較的保たれた集団でY染色体微小欠失の検出率が低く、精液所見から検査対象を絞る根拠が示されました[8]。精子数に応じて必要な検査を選び、結果を精子回収と家族への情報へ反映します。

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女性側年齢と不妊期間で、待てる期間が変わります

男性側の精液所見が同じでも、女性側年齢、卵巣予備能、卵管、排卵、不妊期間によって選択肢が変わります。精液指標と自然妊娠までの期間を調べた研究では、濃度や総運動精子数が高いほど妊娠までが短い傾向を示し、WHO参考値を境に可能性が急に途切れる形ではありませんでした[5]。

自然妊娠を待つ期間、人工授精に使える総運動精子数、体外受精・顕微授精へ進む理由をカップル単位で検討します。男性側の治療効果を数か月待てるか、女性側の治療を同時に進めるかを決める際に、精液検査の数値が具体的な意味を持ちます。

精子形成には約3か月を要し、発熱、薬剤変更、禁煙、手術の影響は数か月後の検査に現れます。治療開始日と精液検査日を記録し、1回ごとの上下より、同じ条件で繰り返した推移を読みます。

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まとめ

精液検査は、精液量、精子濃度、総精子数、総運動率、前進運動率、正常形態率を組み合わせて読みます。WHOの下位参考値は自然妊娠した男性集団の連続的な分布から定められました。初回異常時は採取条件をそろえて再検します。無精子症では遠心沈渣、精巣体積、FSHから閉塞性と非閉塞性を分け、高度例には染色体・Y染色体検査を選びます。女性側年齢と不妊期間も同時に扱います。