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疲れやすい・意欲が出ない:男性更年期とテストステロン

疲労や性欲低下とテストステロンの関係を、採血条件、睡眠・肥満・薬剤から解説します。補充療法の効果、妊活への影響、治療中の監視項目も扱います。

男性の横顔と時間に沿って変化する波によって、男性更年期の心身のリズムを表した概念図
疲労や意欲など複数の変化が時間とともに現れる様子を、男性の横顔と波で表現しています。© Uro Care 医学編集部
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性症状と低テストステロンがそろうかを確認します

疲れや意欲低下が続くと、「男性ホルモンが減ったのでは」と感じることはありませんか?

疲れやすい、意欲が出ない、眠い、筋力が落ちたという症状は、睡眠不足、うつ、貧血、甲状腺疾患、糖尿病、慢性炎症、薬剤でも起こります。テストステロン低下と比較的結び付きやすいのは、性欲低下、朝の勃起減少、勃起障害などの性症状です。欧州男性加齢研究では、複数の性症状と一貫して低いテストステロン値がそろう群が識別されました[1]。

男性のテストステロンが低下する時期と速度には、個人差があります。診察では本人が困る症状を具体化し、条件をそろえた採血を行います。質問票の点数、疲労感、採血1回のいずれか1つだけから補充療法へ進まず、症状と数値が同じ病態を示すかを確認します。

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採血は主な睡眠後の午前に、別日でもう一度行います

テストステロンには日内変動があり、一般には午前中が高値です。シフト勤務では時計の時刻より、主要な睡眠から起きた後の時間を考えます。急性疾患、強い睡眠不足、極端な食事制限や過剰運動でも一時的に下がるため、安定した日に測定します。低値なら別日に再検し、検査法と基準範囲を確認します。採血票に残す項目は、起床時刻、採血時刻、急性疾患の有無、服薬です。前回と条件が違う数値を並べるより、同じ生活条件で2回測るほうが治療判断に使えます。シフト勤務なら、主な睡眠を終えた時刻も採血記録へ必ず添えます。

肥満、糖尿病、甲状腺・肝疾患は、性ホルモン結合グロブリンを変える要因です。総テストステロンが境界域なら、SHBGと計算遊離テストステロンなどを追加します。LHとFSHは精巣原発か視床下部・下垂体由来かを分けます。プロラクチン高値、頭痛、視野症状があれば下垂体評価へ進みます。数値の低さに加え、ホルモン調節のどの段階に問題があるかを見ます。

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睡眠、体重、処方薬には回復できる余地があります

若い健康男性を睡眠制限した研究では、1週間の短時間睡眠で日中のテストステロンが低下しました[2]。肥満はSHBG低下と視床下部・下垂体・精巣系の抑制に関わり、減量後に値が回復する人もいます。大きないびき、睡眠中の呼吸停止、日中傾眠、高血圧があれば睡眠時無呼吸を評価します。

オピオイド、糖質コルチコイド、抗アンドロゲン薬、一部の向精神薬はホルモンや性機能へ影響します。処方目的、用量、症状が始まった時期を確認します。血算、TSH、HbA1c、肝腎機能を測り、必要に応じて鉄欠乏などを調べます。睡眠、体重、薬剤という可逆的な要因を治療すると、症状と採血値がともに改善する人がいます。

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補充療法を始める前に、改善したい症状を1つ決めます

症状と反復低値がそろい、可逆的要因を検討した人にはテストステロン補充療法を考えます。TTrialsでは、高齢で低値の男性に性活動、性欲、勃起機能の改善がみられました。活力と歩行機能の改善は限定的でした[3]。骨試験では1年間で骨密度と推定骨強度が増加しました[4]。

開始前に、性欲、勃起、貧血、筋力、気分のうち何を改善したいかを決め、3〜6か月で評価します。認知機能試験では記憶改善が示されませんでした[5]。検査値が正常化しても目標症状が変わらない人は、他の原因を調べ、治療継続を見直します。研究で示された利益と、期待が先行している効果を分けて説明します[7][8]。

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血算、PSA、排尿、心血管、睡眠を定期確認します

補充療法はヘマトクリットを上げ、多血症を起こす場合があります。開始前と治療中に血算を測り、著しく上昇した人は減量・中断を検討し、睡眠時無呼吸と喫煙も評価します。年齢とリスクに応じてPSA、前立腺診察、排尿症状を確認します。既知または疑わしい前立腺・乳がん、重い未治療睡眠時無呼吸、最近の心血管イベントがある人は適応を慎重に検討します。

心血管高リスクの性腺機能低下男性を対象としたTRAVERSE試験では、主要心血管イベントについてテストステロン治療の非劣性が示されました[6]。心房細動、肺塞栓、急性腎障害など個別事象と対象集団を含めて読みます。基礎疾患を把握し、治療中の症状と検査を追える体制で使用します。

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近い将来の妊娠希望は、処方前に必ず確認します

外からテストステロンを投与すると、下垂体からのLH・FSHが抑えられ、精巣内テストステロンと精子形成が低下します。現在または近い将来に子どもを希望する男性は、精子形成を保つ治療を専門医と選びます。治療前に妊娠希望と精液所見を確認し、状況に応じて精子凍結も検討します。

原因に応じてhCGや選択的エストロゲン受容体調節薬などを専門的に用いる場合があります。製剤ごとに適応、国内承認、必要な監視が異なります。補充療法中に精巣容積低下や無精子症が起きると、回復まで数か月以上かかり、完全に戻らない可能性もあります。性症状の改善と生殖機能が逆方向へ動くことを、開始前に説明します。

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製剤ごとに、採血時刻と生活上の注意が変わります

注射剤と経皮ゲルでは、血中濃度の変動、通院頻度、皮膚反応、周囲への付着リスクが異なります。注射では投与後のピークと次回前の谷による症状変動、多血症を確認します。ゲルは毎日投与しやすい反面、塗布後の手洗いと、女性・小児の皮膚へ移さない配慮が必要です。

治療目標は、症状改善が得られる生理的範囲に保つことです。採血時刻を製剤の投与タイミングへ合わせます。むくみ、乳房症状、ざ瘡、排尿症状、気分変化を記録し、症状と検査値を同じ時点で評価します。

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貧血と骨量低下には、それぞれ原因検索を加えます

性腺機能低下は赤血球産生と骨代謝へ影響し、貧血や骨量低下を伴います。骨折歴、身長低下、長期ステロイド、低体重があれば骨密度を測り、ビタミンD、カルシウム、運動、骨粗鬆症治療を検討します。骨折リスクが高い人には、テストステロン治療と別に骨粗鬆症治療も検討します[4]。

貧血には鉄欠乏、消化管出血、腎疾患、血液疾患など別の原因があります。補充療法でヘモグロビンが上がる可能性はあっても、原因検索は必要です。開始前からヘマトクリットが高い人は多血症リスクが高く、用量と治療適否を慎重に判断します。

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中止条件と次回採血日を、処方時に決めます

十分な期間を置いても目標症状が改善しない、ヘマトクリットが安全域を超える、PSAが予想外に上昇する、排尿症状や睡眠時無呼吸が悪化する場合は、中断または精査を検討します。浮腫、心不全の悪化、強い気分変化も確認します。

肥満や睡眠不足に伴う一過性の低値なら、生活改善後に補充が不要になる人もいます。下垂体・精巣疾患による持続的欠乏では、長期治療が必要です。開始時に3か月、6か月、その後の診察と採血日を決め、目標症状、テストステロン値、血算、PSAを同じ表で追います。継続理由を定期的に確認できる計画にします。

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まとめ

男性更年期を疑うときは、性欲低下や朝の勃起減少を含む症状と、主な睡眠後の午前に2回確認した低テストステロン値をそろえます。睡眠時無呼吸、肥満、糖尿病、うつ、貧血、甲状腺疾患、薬剤も調べます。補充療法では改善したい症状を決め、血算、PSA、排尿、心血管、睡眠を監視します。妊娠希望がある男性では、精子形成を保つ治療を選びます。効果が乏しい、ヘマトクリットやPSAが予想外に変化した場合は、治療を見直します。