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会陰部が痛い・違和感が続く:慢性前立腺炎と慢性骨盤痛

3か月以上続く会陰部痛を、感染、骨盤底筋、神経感作、排尿、睡眠から評価します。抗菌薬が合う場面と骨盤底理学療法などの治療を解説します。

座った男性の周囲に続く同心円の波によって、慢性骨盤痛の持続する違和感を表した概念図
長く続く会陰部の痛みや違和感を、身体の外側へ静かに広がる波として表現しています。© Uro Care 医学編集部
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3か月続く骨盤痛は、痛む場所を細かく分けます

検査では異常が乏しいのに、会陰部の痛みや違和感が続いていないでしょうか?

会陰、陰茎、精巣、下腹部、肛門周囲の痛みや圧迫感が3か月以上続き、排尿や射精に関連する状態は、慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群に含まれます。持続的な細菌感染で説明できる患者は一部で、痛み、排尿症状、性機能、睡眠、心理負担がさまざまな組み合わせで現れます。

発熱と尿培養陽性を伴う急性細菌性前立腺炎、同じ菌で尿路感染を反復する慢性細菌性前立腺炎は別に扱います。培養陰性の長期症状へ抗菌薬を繰り返すと、耐性と副作用が増えます。診察では前立腺という臓器へ限定せず、痛みが出る場所、座位・排尿・射精との関係、感染歴を時系列で確認します。

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NIH-CPSIで、痛み・排尿・生活を別々に追います

NIH Chronic Prostatitis Symptom Indexは、痛み、排尿症状、生活への影響を点数化した質問票です[1]。痛む部位と頻度、排尿時・射精時との関係、尿勢、頻尿、仕事や座位への影響を同じ形式で追跡できます。総点の変化に加え、どの領域が改善したかを見ます。同じ総点でも、痛みが減って座れるようになった人と、排尿は楽でも仕事を休む痛みが残る人では次の治療が違います。診察ごとに最も困る場面を1つ選び、点数と実際の行動を対応させます。次回までに追う項目も1つに絞り、本人の言葉で診療録に残します。

診察では腹部、外陰部、精巣、鼠径部、前立腺、骨盤底筋、腰・股関節、神経所見を評価します。前立腺の圧痛は、感染以外の慢性骨盤痛でも生じる所見です。尿検査、培養、残尿を基本とし、血尿、片側陰嚢腫脹、尿道分泌物、明らかな閉塞、がんを疑う所見があれば検査を追加します。症状と診察所見に合う範囲を調べます。

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座位で悪化する痛みには、骨盤底の弛緩を試します

会陰部を触れると痛い、長い座位で悪化する、排尿開始に時間がかかる、便秘や射精後痛がある人では、骨盤底筋の過緊張と筋膜の圧痛を調べます。尿失禁向けの「締める」運動を続けると、弛緩しにくい筋へさらに力が入る可能性があります。

骨盤底理学療法では、呼吸、骨盤底の弛緩、筋膜への介入、股関節・体幹の動き、排便姿勢を個別に扱います。尿路性慢性骨盤痛を対象にした無作為化実行可能性試験では、筋膜理学療法による改善の可能性が示されました[2]。小規模研究ではありますが、診察で筋圧痛がある人には、感染治療とは異なる選択肢になります。施術後の痛みが毎回長く増える場合は、圧の強さと頻度を調整します。自宅では腹式呼吸、短い歩行、便秘対策を続け、強い自己マッサージは避けます。

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睡眠と不安は、痛みの強さと回復力に影響します

痛みが長く続くと、神経系が刺激へ過敏になり、軽い圧迫や排尿も強い痛みとして感じるようになります。組織損傷の大きさと痛みの強さが一致しない状態です。睡眠不足、不安、抑うつ、症状への強い恐怖は痛みへの対処を難しくし、痛みも睡眠と気分を悪化させます。

夜間の覚醒、仕事上の負担、活動を避けている範囲を確認します。認知行動療法、マインドフルネス、睡眠治療、段階的な運動を身体治療へ加えます。痛みが0になるまで活動を止めると、筋力と生活範囲が狭まります。座れる時間、睡眠、仕事、性活動を小さな単位で戻し、痛みの点数と機能を別々に追います。

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抗菌薬とα遮断薬には、試す条件と期間を設けます

尿培養陽性、明らかな感染歴、未治療の初期症例では抗菌薬を試す合理性があります。長期罹患で培養陰性の男性を対象にした無作為試験では、シプロフロキサシンやタムスロシンの明確な利益が示されませんでした[3]。新規診断例を対象にした試験でも、アルフゾシンは症状を有意に改善しませんでした[4]。

尿勢低下が強い人にはα遮断薬、炎症性疼痛には短期NSAIDs、神経障害性疼痛には病態に合う薬を選びます。クエルセチンなども研究されています[6][9]。4〜8週間後にNIH-CPSIと機能目標を比べ、利益がなければ中止します[7][8]。複数の薬を同日に始めず、効果と副作用を判別できる順序で試します。

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UPOINTで、治療できる要素を患者ごとに拾います

UPOINTは、尿路症状、心理社会、臓器特異的所見、感染、神経・全身性疼痛、筋の圧痛という領域から症状を見ます。該当領域へ治療を対応させた前向き研究では、6か月以上で症状改善が報告されました[5]。無作為比較試験ではないため、効果の大きさには慎重な解釈が必要です。

培養陰性で骨盤底圧痛と不眠が強い人には、理学療法と睡眠・疼痛治療を組みます。尿勢低下と残尿がある人には閉塞評価を加えます。勃起障害、過敏性腸症候群、線維筋痛症、片頭痛など、全身の疼痛症候群も確認します。治療可能な要素を一覧にし、優先順位をつけて進めます。

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誘因は2週間だけ記録し、再現するものを調整します

長時間座位、自転車、硬い椅子、便秘、射精、アルコール、辛い食品で症状が揺れる人がいます。痛み、排尿、活動、食事、睡眠を2週間記録し、繰り返し悪化と結び付く要因を調整します。自転車はサドル形状、前傾姿勢、乗車時間、休憩で会陰部の負荷を変えられます。

温浴、座位クッション、短い歩行、穏やかなストレッチは試しやすい方法です。強い前立腺圧迫や、痛みを我慢するマッサージは避けます。症状には波があるため、数日の増悪だけから治療全体を変更せず、数週間の平均痛、座位時間、睡眠を比較します。食品制限は、2週間の日誌で再現性を確認できたものに絞ります。

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急な精巣痛、発熱、尿閉は別の病態として扱います

突然の片側精巣痛と腫れ、精巣の位置上昇は精巣捻転を疑い、直ちに評価します。発熱・悪寒、排尿困難、全身状態の悪化は、急性細菌性前立腺炎、尿路感染、膿瘍を考えて当日中に検査します。肉眼的血尿、進行する体重減少、夜間も強まる骨痛、新しい神経麻痺には別疾患の検索が必要です。

慢性骨盤痛がある人にも、新しい急性疾患は起こります。安定した慢性痛で検査が陰性なら、増悪のたびに抗菌薬へ戻るより、決めた理学療法、疼痛管理、セルフケアを続けます。通常の症状波と、当日対応が必要な変化をあらかじめ書き分けます。

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射精痛と性機能も、治療前後に確認します

射精時・射精後の会陰痛、勃起維持の困難、性欲低下は慢性骨盤痛に伴います。痛みへの予期不安から性活動を避け、パートナーとの関係へ影響する人もいます。痛みが出る時期、骨盤底の緊張、薬の性機能副作用を確認します。

α1遮断薬は射精へ、向精神薬は性欲や射精へ影響します。骨盤底の弛緩、痛みの少ない体位、性行為以外の親密さ、ED治療、カウンセリングを必要に応じて組み合わせます。痛みが完全に消えるまで性生活を止める方法より、症状の範囲内で段階的に再開する計画が合う人もいます。痛みと性機能を別の項目で評価します。

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まとめ

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群では、感染、骨盤底過緊張、神経の過敏化、排尿、睡眠、心理負担が重なります。NIH-CPSIで痛み、排尿、生活への影響を分け、尿培養、残尿、骨盤底の診察を行います。培養陰性の長期症状へ抗菌薬を反復せず、筋圧痛には骨盤底理学療法、排尿症状には適応を選んだ薬、痛みと不眠には多面的な治療を組みます。急な精巣痛、発熱・悪寒、尿閉には、慢性症状の計画を中断して早急に対応します。