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尿をすると痛いのは膀胱炎だけ?排尿痛の原因と検査

排尿時の痛みを、場所とタイミング、発熱、分泌物、尿勢から見分けます。膀胱炎・前立腺炎・尿道炎で異なる採尿法と、抗菌薬が効かないときの原因を解説します。

尿の流れが狭い境界を通過する際の刺激を、小さな光と水の動きで表した概念図
排尿時の痛みを生々しく描かず、流れが境界を越える瞬間の刺激として表現しています。© Uro Care 医学編集部
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痛みを、場所と排尿の瞬間に分けて尋ねます

排尿するたびにしみると、「膀胱炎だろう」と思っていませんか?

「尿をすると痛い」という言葉には、尿道口がしみる、排尿中に尿道全体が灼ける、排尿の終わりに下腹部が痛む、排尿後も会陰部が疼く、といった症状が含まれます。尿が皮膚へ触れた瞬間の痛みなら外陰部炎や皮膚病変、排尿中の灼熱感と分泌物なら尿道炎、終末時痛と頻尿なら膀胱炎を考えます。

発症した速さ、性別、妊娠、性交との時間関係、発熱、側腹部痛、血尿、尿勢を加えると候補を絞れます。結石、腫瘍、閉経関連泌尿生殖器症候群、膀胱痛症候群、薬剤や洗浄剤による刺激も排尿痛を起こします[1]。診察前に「どこが」「排尿のどの瞬間に」「尿が出ていない時間も痛むか」を言葉にしておくと、採るべき検体と診察部位が決まります。

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若い女性の急性膀胱炎には、典型的な症状の並びがあります

健康な非妊娠女性で、排尿痛と頻尿が急に始まり、腟分泌物や腟刺激症状がない場合は、急性単純性膀胱炎の確率が高まります[2]。尿試験紙の亜硝酸塩や白血球エステラーゼは診断を補助します[3]。性交頻度や殺精子剤の使用が発症リスクと関連した前向き研究もあります[10]。

腟分泌物、性交痛、外陰部の水疱や潰瘍があれば、腟炎、子宮頸管炎、性器ヘルペスを調べます。妊娠中、反復例、治療不成功、腎疾患や尿路奇形がある人では尿培養を提出します。処方後48〜72時間で改善が乏しい場合は、耐性菌、結石、残尿、別の感染部位を再評価します。排尿痛が軽くなっても肉眼的血尿が続くときは、尿路出血の検査を追加します。

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男性の排尿痛では、前立腺と尿の通り道を調べます

男性では膀胱炎に加え、尿道炎、急性細菌性前立腺炎、前立腺肥大症に伴う残尿、尿道狭窄を考えます。高熱、悪寒、会陰部痛、排尿困難、強い倦怠感が急に出た場合は急性細菌性前立腺炎が疑われます[4]。炎症が強い時期の前立腺マッサージは菌血症を招く危険があり、診断目的には行いません。

尿が細い、出始めに時間がかかる、下腹部が張るという症状には残尿測定を加えます。感染と閉塞が重なると、抗菌薬に加えて尿路ドレナージが必要です。前立腺炎や尿道損傷が疑われる場面では導尿方法を慎重に選びます。若い男性で尿道分泌物や新しい性接触があれば、一般尿培養に加えて核酸増幅検査を提出します。

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分泌物や性接触があれば、初尿と感染部位を選びます

尿道口からの膿性・粘液性分泌物、尿道のかゆみ、排尿時灼熱感があれば、淋菌、クラミジア、Mycoplasma genitaliumなどを検討します。核酸増幅検査には、排尿途中の中間尿より排尿開始時の初尿が適しています。咽頭や直腸で感染が起きた性行動があれば、該当部位からも検体を採ります。

女性の排尿痛を検討した研究では、通常の尿培養で拾えないM. genitalium感染が含まれていました[5]。性器ヘルペスでは、尿が外陰部の潰瘍へ触れることで強い痛みが生じます。病原体によってパートナーの検査・治療、治療後検査の要否、性交を控える期間が変わります。尿道分泌物、性接触、外陰部病変がある人は、膀胱の中間尿培養だけで検査を終えないことが重要です。

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中間尿、初尿、カテーテル尿は使い道が違います

膀胱炎の尿培養では、排尿途中の中間尿を清潔な容器へ採ります。外陰部を強く消毒する必要はありません。採取後に室温で長時間置くと菌数が変わるため、速やかに提出し、時間がかかる場合は冷蔵します。尿道炎の初尿、留置カテーテルの採尿ポートから採る尿、腎盂尿は、それぞれ検査する部位が異なります。

白血球があるのに通常培養が陰性なら、抗菌薬を飲んだ後の採尿、性感染症、尿路結核、結石、間質性腎炎を考えます。症状のない培養陽性は無症候性細菌尿の可能性があり、妊娠中と一部の尿路処置前を除けば、抗菌薬の利益は限られます。検査結果には採取部位、症状、抗菌薬歴を添えて読みます。

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培養陰性が続く痛みには、外陰部と骨盤も診察します

尿中の白血球が乏しく、適切な抗菌薬を使っても痛みが続く場合は、閉経関連泌尿生殖器症候群、膀胱痛症候群、結石、腫瘍、骨盤底筋の過緊張、石けんや消毒剤による刺激を調べます。膀胱痛症候群では、膀胱に尿がたまるにつれて痛みが強くなり、排尿後に軽くなる経過が手掛かりです[8]。

閉経後の粘膜は乾燥しやすく、灼熱感、性交痛、反復性尿路感染が重なります[9]。外陰部の診察を省くと、尿培養陰性のまま抗菌薬が反復されやすくなります。肉眼的血尿、片側の痛み、喫煙歴、持続する顕微鏡的血尿があれば、画像や膀胱鏡を検討します。培養結果と治療反応が感染像に合わないときは、診察範囲を尿路の外へ広げます。

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抗菌薬は、感染した場所へ届く薬を選びます

急性単純性膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎、尿道炎では、選ぶ薬剤と治療期間が異なります。膀胱内で有効でも前立腺組織へ十分届かない薬があります。地域の薬剤耐性、過去の培養結果、アレルギー、腎機能、妊娠を確認して処方します[6][7]。

治療開始後は解熱、痛み、排尿回数を追い、培養結果が判明したら狭域化または変更を検討します。反応が乏しい場合は、腎・前立腺膿瘍、尿路閉塞、耐性菌、感染以外の原因を調べます。市販鎮痛薬や尿路鎮痛薬は痛みを軽くしますが、感染部位を治療する薬ではありません。水分の大量摂取で洗い流そうとすると、悪心や尿路閉塞がある人には負担となります。

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発熱、尿閉、妊娠では当日の評価が必要です

発熱、悪寒、嘔吐、側腹部痛がある人は、腎盂腎炎や前立腺炎を想定して当日中に評価します。血圧低下、意識変化、呼吸数増加は敗血症を疑う所見で、直ちに対応します。強い尿意と下腹部膨満があるのに尿が出ない状態も、感染性尿閉を含めた当日処置の対象です。

妊娠中、免疫抑制中、単腎、最近の尿路手術後では、軽い排尿痛でも合併症の危険が上がります。全身状態が良好で、典型的な単純性膀胱炎に合う人なら、救急で高度検査を重ねる必要性は低くなります。緊急度は痛みの点数より、感染が腎臓や前立腺へ及んだ徴候、尿が流れているか、重症化しやすい背景の有無で決まります。

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痛みを和らげながら、検査結果を待ちます

排尿痛が強いときは、腎機能や併用薬に合う鎮痛薬、温熱、刺激の少ない外陰部ケアを併用します。NSAIDsは腎機能低下、消化管潰瘍、妊娠、抗凝固薬の使用状況で適否が変わります。痛みが軽くなっても、発熱、尿量、培養結果の確認を続けます。

香料入りの石けん、入浴剤、殺精子剤、強い洗浄は尿道口や外陰部を刺激します。発症時期と重なる製品があれば、まずその製品を外して経過を見ます。複数の食品や日用品を同時に禁止すると、原因を確かめにくくなります。外陰部の潰瘍や強い発赤があれば、尿検査に加えて皮膚・粘膜を診察します。症状緩和と原因確認を並行させると、痛みを我慢せず診断も進められます。

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まとめ

排尿痛は、痛む場所と排尿中のタイミングに、頻尿、分泌物、発熱、側腹部痛、尿勢を加えて原因を探ります。女性の急性膀胱炎には中間尿、尿道炎には初尿や感染部位の検体を選びます。男性では前立腺炎と尿路閉塞も確認します。適切な抗菌薬でも改善しない、培養が繰り返し陰性という経過では、結石、閉経後の粘膜変化、膀胱痛症候群、骨盤底筋、腫瘍を調べます。発熱・悪寒、尿閉、循環不全には当日または直ちに対応します。