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おへそから膿や液が出る:尿膜管遺残とは

大人のおへそから膿や液が出る原因の1つである尿膜管遺残について、胎児期の構造、感染、超音波・CT、手術、尿膜管がんとの違いを解説します。

上方の小さな丸い紙の印と下方の淡い器を細い青緑の糸が結び、途中の閉じきらない結び目が尿膜管遺残を表した概念図
へそや膿、膀胱を写実的に描かず、本来閉じる通り道が一部残る仕組みを、上下を結ぶ糸と未完成の結び目で表現しています。© Uro Care 医学編集部
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胎児期の尿膜管が残る仕組み

胎児期には、膀胱の頂部からおへそへ向かって尿膜管という管が伸びています。成長とともに内部が閉じ、成人では正中臍索という細い線維へ変わります。この閉鎖が一部残った状態が尿膜管遺残です[1]。

遺残する場所により、おへそから膀胱まで全体が開く尿膜管開存、おへそ側だけが開く尿膜管洞、中央に液体がたまる尿膜管嚢胞、膀胱側だけが袋状に残る膀胱尿膜管憩室に分かれます。

成人では、残った小さな空間へ細菌が入り、感染を起こして初めて見つかる例が多くを占めます。おへそから膿が出る症状は皮膚だけの問題に見えても、腹壁の内側へ続く尿膜管遺残が背景にあります。

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へそから膿、透明な液、尿が出る違い

尿膜管洞や感染した嚢胞では、おへその赤み、痛み、悪臭のある膿、下腹部の張りが現れます。排膿すると一時的に軽くなり、開口部が閉じた後に再燃を繰り返します[1][3]。

おへそから尿様の透明な液が持続する時は、膀胱まで開通した尿膜管を疑います。尿量や排尿のタイミングと連動するかが手掛かりになります。黄色い膿は感染を、血が混じる液は炎症や別の病変を考える材料です。

液の色だけで経路を確定することは難しく、皮膚表面の感染、臍ヘルニア、毛が入り込む臍部毛巣洞、消化管由来の卵黄腸管遺残なども似た症状を作ります。おへそからの排液は、出口に加えて奥へ続く方向を見る症状です。

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閉じた嚢胞で起こる感染

中央部だけが残る尿膜管嚢胞は、外から見える開口部がないため、感染するまで気付かれにくい構造です。細菌が入り込むと、おへそと恥骨の間の正中に痛みや硬い腫れが生じ、発熱や炎症反応の上昇を伴います[1][4]。

膿瘍が大きくなると、腹膜側へ炎症が広がって腹痛が強まり、おへそへ破れると排膿します。膀胱側へ炎症が及んだ時は、頻尿、排尿痛、膀胱頂部の壁肥厚が現れます。

成人の臍炎を大規模データで調べた研究では、尿膜管遺残が一定割合で背景にあり、近年は腹腔鏡手術が増えていることが報告されています[3]。皮膚表面を洗浄するだけで再発する時に、腹壁内の遺残構造が意味を持ちます。

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超音波とCTで正中の管を追う

超音波では、おへそから膀胱頂部へ向かう正中線上に、液体を含む管や嚢胞がないかを観察します。被曝がなく、膿瘍の内容や膀胱との位置関係を確認しやすい検査です。

CTでは、腹壁と腹膜の間にある病変の長さ、膿瘍、周囲脂肪の炎症、膀胱頂部との連続性を詳しく描きます。石灰化や充実部分がある場合には、単純な感染と腫瘍性変化を分ける材料になります。MRIは軟部組織の境界や骨盤内の広がりを補います。

瘻孔造影では臍の開口部から造影剤を入れて管の長さを確認します。炎症で途中が閉じている時は、CTや超音波で深部を補います。排液の性状と超音波・CT所見を照合し、遺残が臍側、中央、膀胱側のどこまで続くかを推定します。

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排膿と切除を分ける病状

膿瘍が大きく全身の炎症が強い時には、抗菌薬と排膿により感染を落ち着かせ、その後に尿膜管遺残を切除する2段階の治療が使われます。炎症が強い組織は周囲との境界が分かりにくく、膀胱や腸管を傷つける可能性が高まるためです[1][4]。

病変が限局し全身状態が安定していれば、感染治療と遺残切除を同じ入院中に行います。治療の段階数は、膿瘍の大きさ、排膿のしやすさ、膀胱との連続、過去の再発で変わります。

抗菌薬で膿が消えても、管や嚢胞が残れば再び内容物がたまる条件も残ります。感染を治す工程と、感染が起こる空間を取り除く工程は目的が異なります。

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へそから膀胱頂部までの切除

症状を繰り返す尿膜管遺残では、おへそ側から膀胱頂部へ続く索状組織を切除します。膀胱との交通がある場合や膀胱壁まで炎症が及ぶ場合には、膀胱頂部を小さく合併切除して閉じます[2][4]。

腹腔鏡手術では、腹腔内から尿膜管の走行と膀胱との境界を確認できます。複数の小さな創から操作し、正中の病変を骨盤側へたどる方法です。症例集積では、腹腔鏡による切除は入院期間と創の面で良好な結果が報告されています[2][5]。

おへそを残す臍温存手術では、感染した開口部だけをくり抜き、形を再建します。臍全体を切除する方法との比較研究では、成人の症候性尿膜管遺残に対し、臍温存腹腔鏡手術が整容面と回復で利点を持つ可能性が示されています[6]。

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卵黄腸管遺残との見分け

おへそから液が出る先天性の通り道には、尿膜管のほか、胎児期の腸とおへそを結んだ卵黄腸管の遺残があります。尿膜管は膀胱へ、卵黄腸管は小腸へ向かうため、腹壁内で進む方向が異なります。

粘液や腸液に近い排液、皮膚から赤い粘膜がのぞく所見、消化管との交通が画像で見える場合には卵黄腸管遺残が候補になります。尿のような透明液や膀胱頂部へ続く管は、尿膜管開存を考える情報です。

また、深いおへそへ毛が入り込み炎症を起こす臍部毛巣洞、臍ヘルニア内の炎症、皮脂や角質による感染も膿の原因になります。発生した組織が異なるため、手術でたどる方向も変わります。正中の管をCTで描くことは、似た見た目の病気を分ける意味を持ちます。

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症状のない遺残をどう扱うか

別の目的で行ったCTや超音波から、症状のない細い尿膜管遺残が偶然見つかります。症状がなく、液体の貯留、壁の不整、膀胱との明らかな交通がない場合には、画像所見と年齢を踏まえて経過を見る選択があります。

臍炎を繰り返す、膿瘍を形成する、膀胱との交通がある、画像で腫瘍性変化が疑われる場合には、残すことによる負担が大きくなります。成人の尿膜管遺残は、症状、液体貯留、壁の不整、膀胱との交通に基づいて治療方針を決めます。

近年の全国データでも、成人臍炎の中で尿膜管遺残が見つかり、腹腔鏡手術の利用が増えています[3]。偶然見つかった細い索と、感染を起こした嚢胞・洞では治療の必要性が異なります。

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膀胱頂部腫瘤では尿膜管がんも確認

尿膜管から腺がんが生じることがあり、多くは膀胱頂部付近の腫瘤や血尿をきっかけに見つかります。感染性尿膜管遺残より頻度は低いものの、成人で充実性部分、石灰化、不規則な壁肥厚、持続する血尿がある場合には腫瘍性変化が検討されます。

感染した嚢胞も壁肥厚と周囲炎症を示すため、充実部分を伴う病変は切除標本の病理で確定します。切除した組織を病理検査で調べ、上皮の種類、異型、浸潤の有無を確かめます。

成人の尿膜管病変に充実性成分、石灰化、不規則な壁肥厚、持続する血尿があれば、切除範囲と病理評価を尿膜管がんも含めて計画します。

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切除標本で分かる炎症と上皮

尿膜管遺残を切除した後は、管や嚢胞の内側を病理検査で調べます。感染を繰り返した組織では、膿瘍、肉芽組織、線維化がみられ、もともとの上皮が炎症で失われています。

病理検査は、画像で感染性嚢胞と考えられた病変に充実性の腫瘍が隠れていないかを確認する役割も持ちます。また、切除端まで遺残構造が続いていないかを見ることで、再発する空間が残った可能性を評価できます。

手術後に同じ部位の腫れや排液が起こる場合には、感染した皮膚組織、残存した尿膜管、縫合部周囲の炎症などが候補になります。遺残を膀胱側までたどって切除する考え方は、再び液体がたまる袋を残しにくくするためです。

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まとめ

尿膜管遺残は、胎児期に膀胱頂部とおへそを結んでいた管の一部が残った状態です。おへそ側が開く尿膜管洞、中央に液体がたまる嚢胞、膀胱まで開く尿膜管開存などがあり、成人では、臍からの膿、発赤、正中下腹部痛を初発症状として診断される人が多くを占めます。超音波とCTは、おへそから膀胱へ続く経路、膿瘍、充実部分を描きます。感染が強い場合には抗菌薬や排膿を先行し、その後に遺残組織を腹腔鏡などで切除します。透明な液、膿、血液では考える経路が異なり、おへその表面所見と、腹壁内から膀胱頂部へ続く構造を合わせて診断します。