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子どもの尿が腎臓へ逆流する:膀胱尿管逆流とは

子どもの膀胱尿管逆流について、尿が戻る仕組み、I〜V度の意味、VCUG、自然消失、予防抗菌薬、便秘・排尿習慣、手術を解説します。

下方の丸い器と上方の2つの淡い器を細いラインが結び、一方だけが丸く戻るループを作ることで膀胱尿管逆流を表した概念図
腎臓や膀胱の解剖を描かず、膀胱から上部尿路へ尿が戻る仕組みを、上下の器と矢印を使わない戻りのループで表現しています。© Uro Care 医学編集部
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尿管の斜め走行が逆流を防ぐ

腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱へ入ります。正常では尿管が膀胱壁の中を斜めに走り、膀胱が収縮するとトンネルが押しつぶされて、尿が腎臓側へ戻るのを防ぎます。

このトンネルが短い、位置や形成が未熟といった理由で弁の働きが弱い状態が、原発性膀胱尿管逆流です[1][2]。尿道の閉塞や神経因性膀胱などで膀胱内圧が高くなり、正常な弁を越えて逆流する場合は続発性と呼ばれます。

逆流は、胎児超音波での水腎症や、乳幼児の発熱性尿路感染をきっかけに見つかる例が多くを占めます。重要になるのは、尿が戻る画像に加え、感染を伴って腎実質へ炎症が届くかという点です。

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I〜V度が表す尿管と腎盂の変化

膀胱尿管逆流は排尿時膀胱尿道造影でI〜V度へ分類されます。I度は尿管まで、II度は腎盂まで逆流するものの拡張がなく、III度では軽度から中等度の拡張、IV度とV度では尿管・腎盂の拡張と屈曲が強くなります[1][2]。

グレードは逆流時の尿管と腎盂の形を表し、腎実質の傷はDMSAなどで別に評価します。同じIII度でも、発熱性尿路感染を繰り返す子どもと、感染なく経過する子どもでは意味が異なります。

左右別に評価され、片側I度と反対側IV度のように差がある場合もあります。治療では最も高いグレードに加え、両側性、年齢、排尿機能、腎瘢痕を重ねて考えます。

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自然消失しやすい条件

原発性VURでは、膀胱壁内の尿管トンネルが成長とともに長くなり、逆流が自然消失します。年齢が低い、I〜II度、片側性、腎瘢痕が少ない場合には自然消失しやすい傾向があります[1][2]。

IV〜V度、両側性、年齢が高い、尿管の拡張が強いVURは、消失まで時間がかかります。高グレードでも感染がなく腎機能が保たれていれば、経過を見ながら自然改善を待てます。

治療では、発熱性尿路感染を減らし、新たな腎瘢痕を防ぐことを目標にします。逆流画像が残っていても感染なく成長する子どもと、低グレードでも感染を繰り返す子どもでは、治療の比重が変わります。

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VCUGで排尿中の逆流を見る

排尿時膀胱尿道造影(VCUG)では、尿道カテーテルから膀胱へ造影剤を入れ、膀胱が満ちる時と排尿する時をX線で撮影します。尿管・腎盂へ造影剤が戻るか、尿道に狭い部分がないかを確かめます。

超音波は腎臓の大きさ、水腎症、尿管拡張、膀胱壁を映し、VURそのものは排尿時膀胱尿道造影で確かめます。超音波が正常でも逆流が存在する理由です。

VCUGにはカテーテルの不快感と放射線被曝があるため、再発、超音波異常、非大腸菌感染、尿路奇形などを踏まえて対象を選びます[1][2]。検査は逆流の有無に加え、原因となる下部尿路の形も同時に見ます。

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DMSAで腎瘢痕の分布を見る

DMSA腎シンチグラフィでは、左右の腎実質へ薬剤がどの程度取り込まれるかを画像化します。急性腎盂腎炎の時期には炎症部の取り込みが低下し、数か月後にも残る欠損は腎瘢痕を考える情報になります。

RIVUR試験の解析では、腎瘢痕は高グレードVUR、2回目の尿路感染、発熱性の初回感染などと関連しました[4]。別の前向き研究でも、VURと膀胱・腸機能障害の組み合わせが再発リスクを高めました[5]。

VURは尿の動きを表し、腎瘢痕は腎実質に残った結果を表します。VCUGが尿の動きを、DMSAが腎実質の結果を映す検査であり、2つは別の疑問へ答えます。

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RIVUR試験:予防抗菌薬で再発を減らす

RIVUR試験では、発熱性または症候性尿路感染後にI〜IV度VURが見つかった607人を、トリメトプリム・スルファメトキサゾールの予防投与群とプラセボ群へ分けました[3]。

2年間で再発した尿路感染は、予防群で約半分に減り、ハザード比は0.50でした。最初の感染が発熱性だった子どもや、膀胱・腸機能障害を伴う子どもで効果が大きく見えました。

新たな腎瘢痕の割合には明瞭な差が生じず、耐性菌による再発は予防群で増えました[3][4]。予防抗菌薬は逆流そのものを変えず、自然改善を待つ期間の尿路感染を減らします。利益は再発リスクと耐性菌の可能性を合わせて考えます。

RIVUR以外の無作為化試験でも、予防抗菌薬は再発を小さく減らしましたが、耐性菌の増加が伴いました[7]。メタ解析でも発熱性尿路感染は減りましたが、腎瘢痕への効果は明瞭でない結果でした[8]。利益は便秘・排尿機能、過去の発熱性再発、逆流グレードで変わります。

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便秘と排尿我慢を整える意味

トイレを長く我慢する、急な尿意や昼間尿漏れがある、排尿時に骨盤底を緩めにくい、便秘が続く状態を膀胱・腸機能障害と呼びます。膀胱内圧と残尿が増えると、細菌が増えやすくなり、逆流を通じて腎臓側へ感染が届く条件が整います。

RIVUR関連研究では、VURと膀胱・腸機能障害を併せ持つ子どもで再発率が高く、予防抗菌薬による利益も大きい傾向がありました[3][5]。

定時排尿、足を安定させた姿勢、便秘治療、水分の偏りを整えることは、感染を起こしにくい膀胱環境を作ります。これらの介入で残尿と感染機会を減らし、逆流を介した腎実質への炎症を抑えます。

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予防抗菌薬を終える時期

予防抗菌薬の継続は、発熱性尿路感染の有無、VURのグレード、排尿・便通、超音波、家族の負担を定期的に見直して決めます[1][2]。

低グレードで長期間感染がなく、排尿習慣が安定し、便秘も整った場合には、自然消失を確認する前に予防薬を終了する選択が考えられます。高グレード、両側性、過去の腎瘢痕、膀胱・腸機能障害が残る場合には、感染を抑える利益が続きます。

薬の終了時期は、逆流画像、過去の発熱性感染、排尿・便通、腎瘢痕を踏まえて決めます。終了後も発熱時に尿検査を行える体制を持つことで、長期の抗菌薬使用と再発リスクの間を調整できます。

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手術・内視鏡治療を考える感染歴

予防抗菌薬を適切に使っていても発熱性尿路感染を繰り返す状態は、ブレイクスルー感染と呼ばれます。高グレードVUR、新たな腎瘢痕、腎機能の左右差、家族が長期の抗菌薬を続けにくい状況などと合わせて、逆流防止手術の意味が大きくなります[1][2]。

内視鏡的注入療法は、尿管口の下へ充填剤を入れてトンネルを支える方法です。体への負担は比較的小さいものの、1回で逆流が消える割合はグレードで異なり、追加治療を要する患者もいます。

尿管膀胱新吻合術は、尿管を膀胱壁内へ長く通し直し、逆流防止弁を再建します。成功率は高いものの、開腹・腹腔鏡・ロボット手術を含む外科治療です。方法の選択は、逆流を画像上消す確率に加え、感染歴と手術負担を重ねて決まります。

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発熱性UTIの回数と腎瘢痕

前向き研究では、発熱性尿路感染が1回の子どもに比べ、2回以上繰り返した子どもで腎瘢痕の割合が大きく上昇しました[6]。感染回数は、グレードとは別に長期的な腎臓評価へ影響する情報です。

VURの経過では、グレードに加え、発熱性感染の回数、原因菌、腎臓の成長、血圧、尿蛋白を追います。両側の広い瘢痕がある場合には、思春期以降も腎機能と血圧が長期の目印になります。

逆流が自然消失した後も、既存の腎瘢痕は血圧、尿蛋白、腎機能で追跡します。

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まとめ

膀胱尿管逆流は、尿管が膀胱壁内を斜めに通る逆流防止構造が十分に働かず、膀胱の尿が腎臓側へ戻る状態です。I〜V度は尿管・腎盂の拡張を表し、腎臓の傷はDMSAなど別の情報で確かめます。VCUGは尿の逆流を、DMSAは腎瘢痕を映します。低グレードでは成長による自然消失が期待され、予防抗菌薬はRIVUR試験で尿路感染再発を約半分に減らしました。耐性菌と腎瘢痕への効果には限界があります。便秘・排尿機能を整えながら経過を見て、発熱性尿路感染の反復、高グレード、腎瘢痕が重なる場合に内視鏡治療や尿管膀胱新吻合術の比重が高まります。