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子どもの高熱は尿路感染かも?乳幼児の尿路感染症

乳幼児の尿路感染症について、尿の症状が乏しい理由、正しい採尿方法、尿培養、飲み薬と点滴の違い、腎瘢痕や画像検査を解説します。

小さな青緑の器を淡い紙の殻が包み、その外側に少数の赤銅色の点と金色の温度の輪があることで乳幼児の尿路感染症を表した概念図
子どもの身体、細菌、炎症を写実的に描かず、高熱を伴う感染と小さな身体を守る視点を、保護の殻と控えめな温度の輪で表現しています。© Uro Care 医学編集部
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乳幼児の尿路感染は発熱から始まる

大人の膀胱炎では排尿痛や頻尿が分かりやすいものの、乳幼児では痛む場所や排尿時の違和感が言葉になりにくく、高熱や哺乳低下が前に出ます。腎盂腎炎まで炎症が広がっていても、38℃を超える発熱、機嫌の悪さ、哺乳量の低下、嘔吐、体重増加の停滞だけが現れます[1]。

発熱した子どもを対象にした系統的レビューでは、尿路感染症の有病率は全体で約7%と報告され、年齢、性別、包皮の状態などによって割合が変わりました[2]。風邪の症状が乏しい高熱で尿検査が話題になるのは、尿路感染が乳幼児の発熱原因として珍しくないためです。

おむつの尿のにおいと色は補助的な手掛かりにとどまり、発熱と全身状態を確認し、汚染の少ない方法で採った尿から診断を確かめます。

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膀胱炎と腎盂腎炎の違い

細菌が尿道から膀胱へ入ると膀胱炎となり、尿管を上って腎盂や腎実質へ及ぶと発熱性尿路感染症、腎盂腎炎として現れます。乳幼児の高熱を伴う尿路感染では、腎実質まで炎症が及ぶ腎盂腎炎を疑います[1]。

腎臓の成長期に強い炎症が起こると、一部が腎瘢痕として残ります。最初の尿路感染後を調べた系統的レビューでは、急性期の腎実質変化と、その後の腎瘢痕が一定割合で認められました[5]。

腎障害には、感染の強さ、治療開始までの時間、膀胱尿管逆流、排尿機能、再発回数が重なって影響します。最初の感染を正確に診断すると、抗菌薬選択とその後の腎画像評価を適切に組み立てられます。

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抗菌薬投与前の尿が持つ情報

尿路感染症では、尿中の白血球や亜硝酸塩を調べる一般尿検査と、細菌を培養して菌種・菌数・薬剤感受性を確認する尿培養を組み合わせます。投薬後の検体では菌量が低下し、培養で発育しない検体が増えます。

そのため、全身状態が許す範囲で抗菌薬投与前の採尿が重視されます。ぐったりして循環が不安定な子どもで、採尿に長い時間をかけることは治療開始を遅らせます。循環が不安定な乳幼児では、採尿に伴う遅れを最小限にし、治療開始を優先します。

一般尿検査で炎症所見が強く、培養で1種類の尿路病原菌が有意に増えれば診断の確度が高まります。症状、採尿方法、尿所見、培養結果の4点を合わせて診断します。

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尿バッグ陽性は汚染を考慮する

おむつを使う乳幼児では、外陰部へ袋を貼る尿バッグが簡単に見えます。しかし、皮膚や会陰部の細菌が袋へ入りやすく、培養で複数菌が増える汚染が多い方法です。若い子どもの研究では、バッグ尿はカテーテル尿より汚染率が大幅に高い結果でした[3]。

バッグ尿の一般検査が陰性であれば、尿路感染の可能性を下げる情報になります。培養が陽性になった時には、その菌が膀胱内にいたのか皮膚から混ざったのかを区別しにくくなります。

診断用の培養には、尿道から細いカテーテルを入れて採る方法や、下腹部から膀胱へ針を入れる膀胱穿刺が使われます[1]。年齢や施設によって中間尿を採れる場合もあります。採尿法によって培養結果の信頼性が変わります。

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菌数を採尿法と症状に重ねる

小児の尿培養では、検出された菌、増えた量、単一菌か混合菌か、薬剤感受性が報告されます。大腸菌など1種類の菌が、炎症所見を伴って有意に増えた場合は感染に合いやすい結果です。

複数種類の菌が同程度に出る混合菌は、採尿時の汚染をまず考えます。尿路カテーテルや複雑な尿路奇形がある子どもでは、複数菌が実際の感染へ関わる患者もいます。再採尿か治療継続かは、採尿方法、尿所見、全身状態を合わせて決めます。

培養結果が判明するまでには通常数日かかります。その間は年齢、過去の培養、地域の耐性菌、感染の強さから薬を選び、結果が出た後に最も狭い範囲で効く薬へ調整します。

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内服か点滴かを決める全身状態

発熱性尿路感染症でも、飲水と内服が保たれ、循環が安定し、重い基礎疾患がない子どもでは、初めから経口抗菌薬で治療できます。

若い発熱児を対象とした無作為化試験では、経口治療と初期点滴治療で臨床経過や腎瘢痕が同程度でした[4]。新生児に近い年齢、嘔吐で薬を保てない状態、脱水、敗血症が疑われる状態、尿路閉塞がある場合には、血中濃度を確実に保てる点滴の比重が高くなります。

内服と点滴は、必要な量を体内へ確実に届けられる方法を選びます。熱が下がり、食事と内服が可能になれば、点滴から飲み薬へ切り替える流れもあります。

生後3か月未満で38℃以上の発熱がある、ぐったりして反応が弱い、哺乳できない、繰り返し吐く、呼吸が苦しそうといった状態では、尿路感染だけに絞らず直ちに小児の緊急評価が必要です。全身状態が保たれる年長児とは、検査と治療開始の期限が異なります。

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超音波で確認する尿路形態

発熱性尿路感染症の後は、超音波で水腎症、腎臓の左右差、尿管拡張、膀胱壁、残尿を確認します[1]。超音波は被曝がなく、先天的な尿路の形を広く見る検査です。

膀胱から尿管へ尿が逆流する膀胱尿管逆流は、超音波が正常でも存在します。逆流そのものを調べる排尿時膀胱尿道造影は、再発する発熱性尿路感染、高度な超音波異常、非典型的な経過など、再発する発熱性尿路感染、高度な超音波異常、非典型的な経過では、排尿時膀胱尿道造影の結果が治療方針へ影響します。

画像検査は、年齢、初回か再発か、超音波、原因菌、治療反応を踏まえて組み立てます。画像では、再発や腎障害へつながる尿路の形態異常を調べます。

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年齢・性別・包皮で変わる発熱時の確率

尿路感染症の頻度は、月齢、性別、包皮の状態によって幅があります。生後3か月未満、女児、割礼を受けていない男児では、発熱時に尿路感染が見つかる割合が高い傾向があります[2]。

男児では生後早期に多く、その後は女児の割合が増えます。包皮内の細菌が尿道口周囲へ集まりやすい時期が、乳児男児の感染リスクへ関わると考えられています。尿検査の要否は、月齢、性別、包皮の状態、発熱期間、ほかの感染源、過去の尿路感染から判断します。

月齢が低い子どもでは、発熱が軽くても全身感染へ進みやすく、血液培養や髄液検査など尿路以外の評価を追加します。尿路感染を疑う確率と、感染時に重くなりやすい年齢は、同じ発熱でも検査の組み立てを変えます。

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反復する発熱性UTIと腎瘢痕

初回感染後の研究では、高度な膀胱尿管逆流、超音波異常、発熱の長さなどが腎瘢痕と関連しました[5][6]。さらに、発熱性尿路感染を繰り返すほど、新たな瘢痕との関連が強まることが報告されています。

腎瘢痕はDMSA腎シンチグラフィで評価されますが、急性炎症による一時的な変化と永久的な瘢痕を分けるため、感染から時間を空けて行います。検査の必要性は、再発、逆流の程度、腎機能、超音波所見で変わります。

長期的には、広い両側性瘢痕がある場合に血圧、尿蛋白、腎機能へ注意が向きます。再発しやすい条件を見つけ、次の発熱時に汚染の少ない尿で早く診断することが腎瘢痕の予防につながります。

尿路感染を起こしやすい小児を対象とした無作為化試験では、低用量の予防抗菌薬が再発を減らしましたが、耐性菌の比率は上がりました[7]。予防抗菌薬の対象は、逆流の程度、再発回数、腎障害リスクから選びます。

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まとめ

乳幼児の尿路感染症では、高熱、哺乳低下、嘔吐、機嫌の悪さが前面に出ることが多く、発熱児全体の約7%にみられるという報告があります。診断では抗菌薬前の尿検査と培養が中心となり、尿バッグは採取しやすい反面、陽性培養へ皮膚の菌が混じりやすい方法です。カテーテル尿など信頼できる検体で、白血球と1種類の病原菌を合わせて読みます。経口薬と点滴は病名の重さより、年齢、嘔吐、脱水、全身状態で選ばれます。超音波、逆流検査、DMSAは、再発回数、尿路の形、腎瘢痕リスクに応じて使い分けます。