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膀胱がんと診断されたら:TURBT・BCG・膀胱全摘までの流れ

膀胱がんの病理結果に出るTa、T1、CIS、T2とグレードを読み、再TURBT、膀胱内注入療法、膀胱全摘、尿路変向、膀胱温存へ進む流れを解説します。

丸みのある器から3つの紙のゲートへ続く曲線によって、膀胱がん診断後の治療選択の流れを表した概念図
病変や手術を描かず、確認から複数の治療選択へ進む道筋を、器と異なるゲートで表現しています。© Uro Care 医学編集部
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TURBTの病理報告書で、深さとグレードを確認します

膀胱がんの治療は、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)で得た病理から具体化します。膀胱壁の内側には粘膜、その下に結合組織、さらに筋層があります。Taは粘膜表面に乳頭状に増殖する腫瘍、T1は粘膜下の結合組織へ浸潤した腫瘍、T2は筋層へ達した腫瘍です。CISは平坦に広がる高グレード上皮内がんを指します[1][2]。

病期とともにlow grade/high gradeを読みます。小さなlow grade Taとhigh grade T1では、再発後の扱いも筋層進展の危険も異なります。病理報告書には、筋層が標本に含まれるか、CIS、脈管侵襲、特殊な組織型の有無も記載されます。これらを確認して次の処置時期を決めます。

「筋層を含む」「筋層浸潤なし」という記載は、採取組織に排尿筋が入り、そこへがんが及んでいないことを示します。高グレードT1で筋層が採れていない時は、深さを過小評価する危険が上がり、再度のTURBTを検討します[1][3]。

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TURBTは、腫瘍を切除しながら病期を測る手術です

TURBTでは尿道から内視鏡を入れ、目に見える腫瘍を切除します。腫瘍本体と深部を適切に採取すると、がんが筋層へ達したかを病理で評価できます。標本内に筋層が確認できることは、筋層非浸潤性と筋層浸潤性を分ける精度へ直結します。

初回切除が不十分、高グレードT1、筋層を評価できない標本などでは、再TURBTを行います[1][2]。再切除には、残存腫瘍を除く目的と病期を確かめ直す目的があります。系統的レビューでも、初回TURBT後の残存腫瘍と病期過小評価が示されました[6]。手術回数だけを数えず、2回目で何を確かめるかを病理所見から読み取ります。

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筋層非浸潤性では、再発と進展を分けて予測します

Ta、T1、CISは筋層非浸潤性膀胱がんに含まれます。この群では、膀胱内へ再び腫瘍が現れる再発と、筋層へ深く進む進展を別の確率として見積もります。小さな単発low grade Taは再発しても浅い病変として処置できる例が多く、高グレードT1、CIS、多発、大径、頻回再発では筋層進展の危険が高まります。

EAUのリスク群は、病期、グレード、腫瘍数、直径、CIS、年齢などから低・中・高・超高リスクへ分けます[1][4]。「再発しやすい」という説明を受けた時は、再TURBTで切除できる浅い再発を指すのか、筋層進展まで含むのかを区別します。

腫瘍数、最大径、初発か再発か、上皮内がんの併存、T1浸潤の深さも再発・進展リスクへ加えます。外来で受け取った病理結果だけで完結せず、手術記録の腫瘍数と膀胱鏡写真を合わせるとリスク群を確定しやすくなります。

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術直後1回の抗がん剤とBCGは、対象が異なります

低リスクを中心とする筋層非浸潤性膀胱がんでは、TURBT直後に抗がん剤を膀胱内へ1回注入し、切除時に散った腫瘍細胞の生着を抑えます[1][2]。膀胱穿孔や強い出血が疑われる場合は実施を見合わせます。

BCG膀胱内注入療法は、高リスク腫瘍やCISの再発・進展を抑えるために用います。週1回を6回行う導入療法に、維持療法を組み合わせます。SWOG試験では維持BCGによって無再発期間が延長しました[5]。BCGとマイトマイシンCを比べたメタ解析でも、維持投与を含むBCGの再発抑制効果が示されました[7]。薬剤名に加え、導入回数、維持期間、副作用による休薬を記録します。

BCG導入療法後は、膀胱鏡、尿細胞診、必要に応じた生検で反応を判定します。発熱や全身症状が強い時は投与を延期し、単なる膀胱刺激症状か全身性BCG感染かを検査します。維持療法を続けられるかは効果と毒性の両方で決まります。

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BCG後の高グレード再発は、病変と時期で扱いが変わります

十分なBCG治療後にCISや高グレード病変が残る、または一定期間内に戻る場合は、BCG不応に該当するかを確認します[1][2]。この段階ではBCGを機械的に反復せず、膀胱全摘と膀胱温存を目指す別の治療を比較します。

高リスク病変が筋層へ進んだ後は、根治治療の選択肢が狭まります。早期膀胱全摘と延期全摘を扱った系統的レビューでは、延期群のがん特異的生存に不利益がみられました[8]。研究の選択バイアスを踏まえつつ、病理の深さ、CIS、脈管侵襲、特殊型、BCG後に戻った時期、全身状態をそろえて検討します。

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T2以上では、手術前から全身の微小病変を治療します

T2以上の筋層浸潤性膀胱がんでは、膀胱全摘と全身治療を組み合わせます。画像上M0でも、検出限界より小さながん細胞がリンパ節や血流内に存在する可能性があるためです。シスプラチンを使用できる腎機能と全身状態があれば、膀胱全摘前に多剤併用化学療法を行います[3]。

シスプラチンを含む術前化学療法は、膀胱全摘単独との無作為比較で生存利益を示しました[9]。手術前に全身治療を行うと、微小転移へ早く薬を届け、摘出標本で反応を確認できます。近年は周術期免疫療法も加わり、治療歴と病理結果に応じて手術後の薬物療法を検討します。

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膀胱全摘後の尿路変向は、術後生活を左右します

膀胱を摘出した後は、腎臓で作られた尿を体外へ出す経路が必要です。回腸導管は腸の一部を通路として腹部のストーマから尿を出します。代用膀胱は腸で袋を作り尿道からの排尿を目指します。尿管皮膚瘻は尿管を皮膚へつなぎ、留置カテーテルを管理します[3]。

回腸導管では装具交換と皮膚管理、代用膀胱では排尿訓練、残尿、夜間尿漏れ、自己導尿の可能性を確認します。腎機能、腸疾患、尿道病変、手指機能、仕事、家族の支援が術式選択へ影響します。がんの切除法と同じ時期に、尿の出し方と日常管理を具体的に検討します。

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化学放射線療法で膀胱を残せる患者もいます

選ばれた筋層浸潤性膀胱がんでは、最大限のTURBT、放射線治療、化学療法を組み合わせるtrimodality therapyが選択肢です[3]。単発で切除しやすい腫瘍、広いCISがない、強い水腎症がない、もともとの膀胱機能が保たれているといった条件が成績へ関わります。

治療後は膀胱鏡、尿細胞診、画像による密な追跡が続き、浸潤性再発時には膀胱全摘を行います。臓器の温存と良好な排尿機能は別々に評価し、頻尿、尿意、出血、膀胱容量も調べます。膀胱温存は、放射線・化学療法と長期内視鏡管理を組み合わせた根治療法で、全摘とは異なる治療負担が続きます。

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特殊型、脈管侵襲、筋層採取の記載も治療へ影響します

尿路上皮がんには、扁平上皮分化、腺分化、微小乳頭型、形質細胞様、神経内分泌系などの組織学的亜型が含まれます。進み方や薬物療法への反応が通常型と異なる場合があり、病理標本の専門的な再評価が治療を変えます[3]。

リンパ管や血管内にがん細胞を認める脈管侵襲、TURBT標本内の筋層、CIS併存も確認します。同じT1 high gradeでも、特殊型や脈管侵襲が加われば早期全摘を検討する比重が増えます。病理報告書では、病期、グレード、筋層採取、CIS、特殊型、脈管侵襲の6項目を順に確認します。

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まとめ

膀胱がんでは、TURBTで得た病理の深さとグレードが次の治療を決めます。Ta、T1、CISでは再発と筋層進展の危険に応じて、再TURBT、術直後抗がん剤、BCGを使い分けます。十分なBCG後にも高グレード病変が続く場合は、病変の種類と再発時期から膀胱全摘を含めて検討します。T2以上では術前全身治療と膀胱全摘を組み合わせ、尿路変向まで準備します。選ばれた患者には化学放射線療法による膀胱温存もあります。