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尿がたまると膀胱が痛い:間質性膀胱炎・膀胱痛症候群とは

尿がたまると痛み、排尿すると軽くなる膀胱痛について、細菌性膀胱炎との違い、ハンナ病変、検査と複数の治療法を解説します。

丸みのある淡い器を複数の半透明な輪が内側から押し広げ、周囲の小さな赤銅色の点が膀胱の充満と痛みの関係を表した概念図
膀胱壁や病変を描かず、尿がたまるにつれて強まる圧迫感を、器の内側から広がる輪として表現しています。© Uro Care 医学編集部
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膀胱が満ちるほど痛み、排尿後に軽くなります

尿が少したまると下腹部や尿道周囲が痛み始め、我慢するほど圧迫感が強くなる。排尿すると一時的に軽くなるため、尿量が少なくても何度もトイレへ行く。この「膀胱充満と痛みの連動」が、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群を考える中心的な特徴です。

AUAは、膀胱に関連すると感じる不快な感覚が、下部尿路症状とともに6週間を超えて続き、感染や別の原因で説明しにくい状態をIC/BPSと定義しています[1][2]。患者は痛みを、圧迫感、灼熱感、張り、尿意に似た不快感とも表現します。

頻尿は病気の中心そのものというより、痛みが強くなる前に膀胱を空にする行動の結果として増えます。1回尿量と痛みの変化を記録すると、過活動膀胱の急な尿意とは異なる流れが見えやすくなります。

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尿培養と症状の持続期間で細菌性膀胱炎を区別します

細菌性膀胱炎でも頻尿、排尿痛、下腹部不快感が起こります。ただし、細菌性膀胱炎は急に始まり、尿中白血球や細菌、尿培養の結果と症状が対応することが多い病気です。

IC/BPSでは尿培養が陰性で、抗菌薬を使っても一時的な変動にとどまり、症状が数か月から数年続きます。尿検査が毎回まったく正常とは限らず、血尿や白血球が少量みられることもあるため、単独の試験紙より培養と経過が意味を持ちます。

また、尿管結石、膀胱がん、尿路結核、子宮内膜症、腟・外陰部疾患、慢性前立腺炎、神経性疼痛なども似た痛みを作ります。IC/BPSは特定の検査1つで確定する病名より、痛みのパターンを捉え、似た病気を除外しながら診断へ近づく症候群です。

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排尿日誌に1回尿量、痛み、夜間回数を記録します

排尿日誌には、排尿時刻、1回尿量、痛みが始まる尿量、排尿前後の痛み、飲水量を記録します。IC/BPSでは1回尿量が小さく、日中・夜間とも頻回になりますが、症状が強い日と穏やかな日で容量が変わります。

診察では、痛む場所、性交痛、月経との関係、排便症状、腰や股関節の痛み、過去の尿培養と抗菌薬への反応も確認します。尿検査と培養は感染を除外するための基礎となり、血尿があれば別の尿路疾患を考える検査が加わります。

AUAガイドラインは、典型症状で診断できる例に一律の尿流動態検査や膀胱水圧拡張を省く方針です[1][2]。検査は病名の証明より、診断が不明な点と治療へ必要な情報を埋めるために選ばれます。

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ハンナ病変型と非ハンナ型では病態が分かれます

膀胱鏡で、赤い粘膜から細い血管が中心へ集まり、膀胱が広がると亀裂や出血がみられる病変をハンナ病変と呼びます。ハンナ病変型では、膀胱粘膜の上皮脱落と強い炎症、B細胞を含む免疫反応が特徴です[3][4]。

ハンナ病変を持たないIC/BPSには、膀胱鏡や組織で強い炎症が乏しく、骨盤底筋、末梢・中枢神経の感作、全身の慢性痛が重なる患者が含まれます。同じ頻尿と膀胱痛でも、膀胱壁の炎症性疾患に近い型と、感覚・痛覚調節の問題が前面に出る型が同じ名称の中に存在します。

日本からの研究でも、ハンナ病変型は独立した炎症性疾患として捉えられ、非ハンナ型との病理学的な違いが示されています[3][4]。この違いは、膀胱鏡の意味と治療の選び方へ直接つながります。

ハンナ病変型をまとめた系統的レビューでは、年齢、症状、膀胱容量などに異なる傾向が報告されました[7]。単一疾患名の中に表現型があることを示す資料です。免疫細胞環境の解析は病態の違いを検討した研究段階で、日常診療の確定検査には未導入です[10]。

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膀胱鏡はハンナ病変を直接確認する検査です

ハンナ病変は内視鏡で直接見なければ確認困難です。年齢が高い、膀胱容量が小さい、強い充満時痛や血尿がある、治療反応が乏しい場合には、膀胱鏡で病型を確認する意味が増えます。

麻酔下の膀胱水圧拡張では、低圧・短時間で膀胱を広げ、容量や粘膜変化を見ると同時に、短期間の症状改善が得られる患者もいます。点状出血はIC/BPSに特異的な所見に含まれず、ハンナ病変と区別します。

EAUは膀胱痛を病型・表現型に分け、混同しやすい疾患を除外するための膀胱鏡と組織評価を重視しています[5]。AUAは診断が明確な患者への一律検査を求めず、ハンナ病変が疑われる時や診断に疑問が残る時に膀胱鏡を位置付けています[1]。2つの考え方は、検査の目的を明確にする点で共通しています。

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骨盤底が硬い人には、締める体操より弛緩を選びます

IC/BPSの患者では、膀胱の痛みを避けるため骨盤底筋を無意識に締め続け、筋肉内の圧痛点や排尿時の弛緩不良が生じます。性交痛、便秘、会陰部痛、排尿後も残る痛みが重なる場合は、膀胱だけで症状を説明しにくくなります。

この型では、骨盤底を強く締める一般的なケーゲル体操が痛みを増やします。AUAガイドラインは、圧痛のある骨盤底筋へ手技による理学療法を提案し、筋力強化中心の運動を避ける考え方を示しています[1][2]。

呼吸、股関節と腹壁の緊張、排便時の力み、長時間座位も骨盤底の状態へ影響します。筋肉を「弱いから鍛える」と一方向に見るより、過緊張で緩まない筋肉を回復させるという視点が重要です。

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食事制限は症状が再現する食品だけに絞ります

コーヒー、アルコール、炭酸、香辛料、柑橘、人工甘味料などで症状が強くなる人がいます。食材との関係が乏しい人に広い除去食を長く続けると、栄養と食事の楽しさが損なわれます。

症状日誌で摂取後の時間と痛みを照らし合わせ、明らかな関連があるものを短期間減らし、再導入して確認する方法が使われます。水分も一律に増やすと頻尿が悪化し、極端に減らすと濃い尿が刺激になります。

また、睡眠不足、精神的緊張、月経、性交、長距離移動などで一時的に悪化するフレアが起こります。ストレスは自律神経と痛覚系を介して慢性痛を増幅し、膀胱症状にも影響します[5]。

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内服薬と膀胱内治療は反応を見ながら組み合わせます

内服ではアミトリプチリン、シメチジン、ヒドロキシジン、ペントサンポリ硫酸などが選択肢になります。アミトリプチリンの無作為化試験では、忍容できる用量まで増量できた患者で症状改善がみられましたが、眠気、口渇、便秘などが継続を左右しました[6]。

膀胱内へはDMSO、ヘパリン、リドカインなどを注入し、粘膜と知覚神経へ直接働きかけます。低圧・短時間の水圧拡張、ボツリヌス毒素、神経調節療法なども、症状と治療歴に応じて使われます。

IC/BPSは複数の要素が重なる患者が多く、1種類の薬への反応だけで診断全体を判断することは難しいでしょう。痛み、頻尿、睡眠、骨盤底、ハンナ病変という複数の要素に別々の治療を当てることで、全体の負担を下げる方法が取られます。

治療の系統的レビューでは研究規模と評価項目のばらつきが大きく、単一療法を全員に優先する根拠は乏しい結果でした[8]。膀胱内注入とボツリヌス毒素注射の無作為化試験は、効果、有害事象、再治療を評価項目に含めました[9]。

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ハンナ病変には焼灼・切除を行います

ハンナ病変が見つかった場合には、内視鏡で病変を焼灼する、切除する、ステロイドを局所注入するといった病変指向の治療が行われます。粘膜の炎症源を直接処置するため、非ハンナ型のIC/BPSより効果を実感しやすい傾向があります。

病変が別の場所へ再出現し、膀胱鏡治療を繰り返す患者もいます。難治性のハンナ病変型ではシクロスポリンなど免疫抑制薬が検討されますが、腎機能、血圧、感染への管理が加わります。

ハンナ病変型と非ハンナ型を同じ治療順で進めるより、内視鏡所見を基に早い段階から治療を変える方が合理的です。病型を知ることが、膀胱へ直接治療するか、骨盤底や全身の疼痛調節へ比重を置くかを決めます。

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まとめ

IC/BPSは、膀胱充満に伴う痛み・圧迫感と頻尿が続き、尿培養で細菌感染を説明できない状態です。排尿日誌で1回尿量と痛みの変化を記録し、膀胱鏡ではハンナ病変の有無を確認します。ハンナ病変型には病変の焼灼・切除、非ハンナ型には骨盤底筋の過緊張、神経感作、食事刺激を含む多面的治療を組みます。締める骨盤底筋体操が痛みを増す例では、弛緩と徒手治療を選びます。治療効果は痛み、1回尿量、睡眠、生活範囲で評価します。