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女性の尿道近くにしこりがある:尿道憩室とは

女性の尿道周囲に袋状の構造ができる尿道憩室について、排尿後滴下、性交時痛、しこり、MRI、手術後の尿漏れまで解説します。

2本の柔らかな紙の弧に支えられた細い縦のラインの側面へ小さな丸いポケットが付き、女性尿道憩室を表した概念図
女性の身体やしこりを描かず、尿道の近くに袋状の空間ができる位置関係を、支えの弧と細い通路の側方ポケットで表現しています。© Uro Care 医学編集部
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排尿後滴下・排尿痛・性交時痛の組み合わせ

尿道憩室では、排尿時の痛み、性交時の痛み、排尿後滴下が古くから「3D」と呼ばれています。3つがすべてそろう患者は少なく、頻尿、急な尿意、反復する尿路感染、血尿、骨盤の違和感など多様な形で現れます[1][2]。

排尿後滴下は、憩室の中に残った尿が立ち上がりや歩行で尿道へ戻る現象です。下着が濡れる時刻をたどると、排尿を終えて立ち上がった後や歩き始めた後に漏れる特徴が分かります。

症状が膀胱炎と似るため、抗菌薬で一時的に軽くなり、再び同じ経過を繰り返します。感染が治まっても袋状の構造が残ると、尿の停滞と炎症が続く条件も残ります。

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尿道と細い開口部でつながる袋

女性の尿道憩室は、尿道の壁から周囲へ袋状の空間が広がり、細い開口部で尿道内とつながった状態です。排尿時に尿が袋へ入り、排尿が終わった後に戻ってくるため、下着へ数滴漏れる原因になります[1]。

多くは尿道周囲腺の出口が詰まり、感染と膿瘍形成を繰り返した後に尿道へ交通して形成されると考えられています。出産や尿道周囲の処置が関係する場合もあり、感染、組織の弱さ、過去の処置が重なって形成されるケースもあります。

膀胱憩室が膀胱壁から外へふくらむのに対し、尿道憩室は短い女性尿道の周囲を取り巻くように広がります。場所が近くても、成り立ち、症状、手術方法は大きく異なります。

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前腟壁のしこりに重なる別の病気

尿道の下側にあたる前腟壁へ、柔らかいしこりや圧痛が現れます。圧迫した時に尿道口から尿や膿が出れば尿道憩室を考える手掛かりになりますが、内容物が出ない例も多くあります。

鑑別にはSkene腺嚢胞、Gartner管嚢胞、腟壁嚢胞、平滑筋腫、尿道周囲膿瘍、過去に注入された尿失禁治療用充填剤などが含まれます。しこりの位置、尿道との交通、内容物の性状が診断を分けます。

そのため、触診で「尿道の近くに袋がある」と分かっても、手術前には開口部と広がりを画像で確認します。尿道憩室は丸い単純な袋に加え、馬蹄形や尿道を一周する形へ広がることがあるためです。

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MRIで描く開口部と枝分かれ

骨盤MRIは、尿道憩室の大きさ、位置、内部の液体や充実成分、尿道を取り囲む範囲を詳しく映します。手術所見との比較研究でも、MRIは複雑な形態と尿道周囲の広がりを把握するうえで高い有用性を示しました[4]。

特に重要なのが、憩室と尿道をつなぐ開口部の位置です。袋を切除しても交通部が残れば再発へつながり、開口部を広く切り過ぎれば尿道の再建範囲が大きくなります。MRIで開口部と枝分かれを確認し、切除範囲と尿道再建を計画します。

内部に石、出血、厚い壁、充実性部分がある場合もMRIで確認されます。画像の目的は病名を付けるに加え、単純型か、馬蹄形・全周性など複雑型かを見分けることです。

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超音波で見る内容物と動き

超音波では、尿道周囲の嚢胞性構造、内部の沈殿物、圧迫時の変形を観察できます。放射線被曝がなく、診察と同じ場で動的に見られる点が利点です。経陰唇超音波の研究では、尿道憩室の形態を高い精度で描けることが報告されています[5]。

検査者の経験と憩室の位置によって見え方が変わり、尿道を一周する複雑な枝や小さな開口部はMRIの方が明瞭です。超音波は動きと内容物を、MRIは複雑な広がりと開口部を詳しく示します。

尿道鏡で開口部が見えない時は、小さな交通部、炎症による閉鎖、観察角度の影響を考え、MRIや超音波で補います。開口部が見えない時にも、MRIや超音波で尿道周囲の袋と交通を補って確かめます。

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培養で捉える袋の中の反復感染

尿道憩室内に尿や分泌物が停滞すると、一般尿検査で白血球や細菌が見つかり、尿培養で同じ菌が繰り返し検出されます。抗菌薬で症状が軽くなっても、袋と尿道の交通が残れば細菌が再び増える条件も残ります。

採尿した尿と憩室内の内容物で菌が異なる場合や、培養が陰性でも痛みと排尿後滴下が続きます。抗菌薬への反応、前腟壁のしこり、MRIまたは超音波を合わせて憩室の有無を判断します。

手術前に感染が強い時には、培養結果に合わせて炎症を抑え、組織の腫れが落ち着いた時期に切除します。感染を落ち着かせると症状が軽くなり、尿道壁と憩室の境界を見分けやすくなって、再建に使う組織も保ちやすくなります。

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尿流動態検査は尿漏れの種類を分ける

尿道憩室がある女性では、排尿後滴下と腹圧性尿失禁、急な尿意に伴う尿漏れが重なります。見た目には同じ「下着が濡れる」症状でも、憩室内の尿が後から出るのか、咳で尿道から漏れるのかによって、手術後に残る症状が変わります。

尿流動態検査は、尿漏れの種類が不明確な時、排尿困難がある時、憩室切除と尿失禁手術の併施を検討する時に行います。膀胱へ水を入れながら圧と漏れを測り、膀胱の収縮、尿道の閉鎖機能、残尿を確かめます[1][2]。

憩室切除へ尿失禁手術を併施するか、まず憩室を治してから再評価するかは、感染、尿道周囲組織、漏れの程度で変わります。症状を1つの言葉にまとめず、漏れる時刻ときっかけを分けることが、手術後の期待を具体的にします。

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憩室切除と多層の尿道再建

症状のある尿道憩室では、腟側から憩室を切除する手術が標準的です。前腟壁を切開し、尿道を傷つけないよう袋を周囲からはがし、尿道との交通部を閉鎖します[1][2]。

再建では、尿道粘膜、尿道周囲組織、腟壁をずらして重ねる多層閉鎖が使われます。縫合線が同じ位置へ重なると瘻孔が生じやすいため、各層を別方向へ配置します。組織が薄い再手術例では、Martius脂肪弁などを間へ挟む方法があります。

手術後は尿道の縫合部を休ませるため、一定期間カテーテルで尿を流します。憩室が尿道を全周性に取り囲む場合や、開口部が膀胱側に近い場合には、切除と再建の難度が上がります。

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再発・腹圧性尿失禁・瘻孔

尿道憩室の切除後に、新たな腹圧性尿失禁が生じる患者がいます。レビューでは術後の新規腹圧性尿失禁が約4〜21%と報告され、憩室が大きい、近位にある、尿道を広く囲むケースでリスクが高まります[2]。

憩室そのものが尿道を外側から支えていた場合、切除後に尿道支持が変わります。尿道壁を広く再建すると括約機能へ影響します。術前からの腹圧性尿失禁と、憩室内の尿が遅れて出る排尿後滴下を分けて記録すると、術後の変化を評価できます。

再発は開口部や枝分かれが残る場合、感染で組織が弱い場合、過去の手術で解剖が変化した場合に起こりやすくなります。初回手術前のMRIが重視される理由の1つです。

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充実部分や出血が示す腫瘍性変化

女性尿道憩室に悪性腫瘍が生じる頻度は低く、報告では2%未満とされています[3]。腺がん、尿路上皮がん、扁平上皮がんなどが報告され、血尿、硬いしこり、画像上の充実性部分が手掛かりになります[6]。

憩室内の壁肥厚には慢性炎症や結石も関わるため、MRIの厚みは充実部分、血流、病理所見と合わせて読まれます。切除標本を病理検査で調べ、上皮の変化と浸潤の有無を確かめます。

腫瘍性変化が見つかった時は、尿道や膀胱頸部周囲を含む広い切除範囲を検討します。頻度の低さと、見つかった時の治療の違いを分けて理解することが重要です。

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まとめ

女性の尿道憩室は、尿道周囲にできた袋が尿道内と細い開口部でつながり、排尿後滴下、排尿痛、性交時痛、反復する感染や前腟壁のしこりを起こす病気です。典型的な3症状がすべてそろう例は少なく、膀胱炎や尿失禁として経過します。MRIは開口部、馬蹄形や全周性の広がり、内部の石や充実部分を描き、切除範囲と再建法の選択に使います。手術では憩室を切除して尿道を多層に再建し、複雑な形では再発、新たな腹圧性尿失禁、瘻孔の可能性が高まります。排尿後滴下は、尿道周囲の袋に残った尿が遅れて流れ出る現象です。