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精巣にしこりがある:精巣腫瘍・精巣上体・陰嚢内の良性病変

陰嚢内のしこりを精巣内・精巣外に分け、陰嚢超音波、AFP・β-hCG・LDH、小型精巣腫瘤、精巣上体嚢胞、陰嚢水腫の違いを解説します。

男性の横顔のそばに並ぶ2つの紙の形と一方を囲む観察リングによって、精巣のしこりを確認する視点を表した概念図
身体部位や病変を描かず、左右差と触れて気づく変化を、対になる形と小さな観察点で表現しています。© Uro Care 医学編集部
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痛みの少ない精巣の硬さは、超音波で早く確認します

入浴中に片側の精巣だけ硬い、以前より大きい、表面の滑らかさが違うと気づく人がいます。精巣腫瘍は強い痛みより、硬さ、重さ、違和感で見つかる例が多く、15〜40歳前後に多い病気です。年齢が高い人にも生じます[1][2]。

停留精巣、反対側の精巣腫瘍、精巣萎縮、家族歴は発症確率へ関わります。急な強い痛み、悪心、高位精巣は精巣捻転の所見であり、腫瘍評価とは別に緊急対応が必要です。痛みの有無だけで経過を決めず、左右の精巣を触診し、陰嚢超音波で内部を確認します。

急激な強い痛み、吐き気、精巣が高い位置に上がる所見は精索捻転を疑います。精巣腫瘍の評価とは緊急度が異なり、発症からの時間を確認して直ちに手術可能な体制で診断します。痛みが乏しい硬結では、数日単位で放置せず超音波へ進みます。

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しこりが精巣内か精巣外かで、候補が大きく変わります

陰嚢内には精巣、精巣上体、精索、精巣を包む膜があります。精巣内部の充実性腫瘤では精巣腫瘍を優先して調べます。精巣上体嚢胞、精液瘤、陰嚢水腫など精巣外の液体病変は、良性病変として見つかる例が多くあります[1][2][5]。

手で触れると、精巣上体という正常構造や周囲の液体を精巣本体のしこりと感じやすくなります。超音波で左右の精巣輪郭、病変の位置、液体/充実性、内部血流を表示すると、精巣内と精巣外を区別できます。

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陰嚢超音波では、内部血流と周囲組織を左右で比べます

精巣内の充実性腫瘤は、周囲より低エコーに見え、内部血流を伴う例が多くあります。石灰化、嚢胞成分、境界、精巣全体の体積も確認します[1][2]。炎症では精巣上体の腫大と血流増加、梗塞では血流低下がみられ、臨床症状と合わせて読みます。

精巣上体嚢胞や精液瘤は精巣の上部・後面にある液体病変、陰嚢水腫は精巣周囲へ広がる液体として描出されます。精巣外の充実性腫瘤には脂肪腫や平滑筋腫なども含まれるため、位置に加えて内部構造と増大を評価します[5]。

精巣内の低エコー腫瘤に血流増加があれば腫瘍を強く疑います。炎症でも血流は増えるため、発熱、圧痛、尿検査、精巣上体の腫大を合わせて見ます。抗菌薬後に腫瘤が残る時は、炎症という初期判断を固定せず再度画像を確認します。

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AFP、β-hCG、LDHは手術前に測定します

精巣腫瘍を疑う精巣内腫瘤では、AFP、β-hCG、LDHを手術前に測ります。AFPは卵黄嚢腫瘍などを含む非セミノーマ、β-hCGは非セミノーマと一部のセミノーマで上昇します。LDHは腫瘍量を反映する補助指標です[1][2]。

セミノーマではAFPが上がらず、3項目が基準範囲でも精巣腫瘍は存在します。肝疾患など腫瘍以外の原因でAFPが変化する例もあります。精巣摘除後はAFPとhCGが半減期に沿って低下するかを追い、画像と病理に加えて病勢を評価します。マーカー低下の遅れと予後の関連も研究されました[8]。

腫瘍マーカーが正常域に収まる精巣がんもあります。セミノーマではAFPが上昇せず、小さな腫瘍ではβ-hCGやLDHも正常域に収まります。測定値は診断補助、病期評価、治療後の推移に用い、超音波所見の代用にはしません[1][3]。

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精巣腫瘍が疑われる時は、鼠径部から精巣を摘出します

標準手術は高位精巣摘除術で、鼠径部から精索を処理し、精巣を一塊で摘出します[1][2]。陰嚢皮膚を切開して腫瘍へ入る方法を避けることで、精巣のリンパ流に沿った病期評価と、その後の治療計画を保ちます。摘出標本からセミノーマ、非セミノーマ、病期に関わる所見を確定します。

手術前には腫瘍マーカーと胸腹部画像を準備し、将来の妊娠希望があれば精子凍結を検討します。反対側の精巣が十分に機能すれば、片側摘出後もテストステロンと精子形成を保つ人が多くいます。化学療法を予定する場合は妊孕性への影響が大きくなるため、保存時期を早めます。

若年患者では、手術前に反対側精巣の状態と将来の妊娠希望を確認します。術後治療の可能性まで見込む場合は精子凍結を検討します。片側精巣摘除後も多くはテストステロンと妊孕性を保ちますが、治療前の精巣機能には個人差があります。

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1cm前後の非触知腫瘤には、良性病変も含まれます

超音波で偶然見つかる数mm〜1cmの精巣内腫瘤には、良性腫瘍が一定数含まれます。小径病変の系統的レビューでも、手術標本の良性率が示されました[3]。非触知、腫瘍マーカー正常、内部血流が乏しい、増大がないといった所見を組み合わせます。

小ささだけで性質を決めず、短い間隔の超音波、精巣温存手術、術中迅速病理を候補にします[1][2][3]。非触知腫瘤の研究では、直径、血流、経時的増大が候補選択へ使われました[6]。臓器温存手術には厳密な選択と迅速病理が前提となります[7]。

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精巣上体嚢胞と精液瘤は、精巣の上部・後面にあります

精巣上体嚢胞は精巣上体の管に液体がたまった病変です。精液瘤も似た場所にでき、内部に精子を含みます。典型的には、精巣上端または後面に、滑らかで動く丸いふくらみとして触れます。

超音波で精巣本体の輪郭を保ったまま、その外側に薄壁の液体病変が見えれば良性所見を支持します。小さく無症状なら経過を見ます。大きくなり、陰嚢の重さ、座位の圧迫感、運動時の違和感が続く場合は摘出術を検討します。手術後の精路への影響も含め、妊娠希望がある人では適応を慎重に決めます。

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陰嚢水腫は、片側の陰嚢全体をゆっくり大きくします

陰嚢水腫は精巣を包む膜の間に液体がたまった状態です。局所の小さなしこりより、片側全体が大きくなり、精巣本体を手で捉えにくくなります。透光性は液体を示す所見ですが、成人では超音波で精巣内部まで確認します。炎症、外傷、手術後に生じるほか、精巣腫瘍へ反応して液体がたまる例もあります[1][5]。

歩行や衣服、座位へ影響する大きさなら手術を検討します。穿刺だけでは再貯留しやすく、根治手術では水腫の膜を処理します。水腫の奥に隠れた精巣を超音波で評価してから治療内容を決めます。

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微小石灰化は、触知できる腫瘤と分けて扱います

精巣微小石灰化は、超音波で精巣内に小さな高エコー点が多数見える所見です。精巣内の充実性腫瘤とは別の所見で、偶然見つかる例があります。系統的レビューでは、孤立性微小石灰化と、精巣腫瘍既往、停留精巣、精巣萎縮、不妊、家族歴を伴う例を分ける方針が示されました[4]。

背景因子のない孤立例では、一律の超音波反復より精巣の自己観察を行います。リスク因子が重なる場合は定期的に精巣体積と新しい腫瘤を確認します[1][4]。白い点の数より、触知腫瘤、左右差、精巣体積、既往歴を追います。

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まとめ

陰嚢内のしこりでは、痛みの乏しい精巣本体の硬さを優先して超音波で確認します。精巣内の充実性腫瘤には精巣腫瘍が含まれ、AFP、β-hCG、LDHを手術前に測定します。精巣上体嚢胞、精液瘤、陰嚢水腫は精巣外の液体病変として描出されます。1cm前後の非触知腫瘤には良性病変もあるため、血流、増大、腫瘍マーカーから監視または精巣温存手術を選びます。妊娠希望があれば、治療前に精子保存を検討します。

精巣腫瘍と診断された後は、摘出標本の組織型、術後の腫瘍マーカー、胸腹部画像で病期を決めます。反対側精巣、テストステロン、妊孕性も長期経過で確認し、治療終了後の生活へつなげます。