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尿細胞診で異常と言われた:クラス分類と結果の読み方

尿細胞診が得意とする高異型度尿路上皮がん、クラス分類とパリシステム、異型細胞・疑陽性・陰性の意味を解説します。

白い検体の器から小さな青緑の点が5枚の濃淡の異なる紙の見出しへ分かれて並び、尿細胞診の分類と結果確認を表した概念図
細胞や顕微鏡像を作らず、採取した検体を段階的に分類して結果を読む流れを、点と5つの紙の見出しで表現しています。© Uro Care 医学編集部
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Class III・IVは病期の数字ではない

結果票の「Class III」「Class IV」は、がんの進行度と誤解されやすい表記です。従来のクラス分類は、細胞の見た目を良性から悪性へ段階的に表したもので、病期のステージI〜IVとは別の分類です。

施設によって表現に違いがありますが、一般にClass I〜IIは良性範囲、Class IIIは異型があるものの良悪性を決めにくい範囲、Class IVは悪性を強く疑う範囲、Class Vは悪性細胞を認める範囲として使われてきました。

現在は、疑う病変と検体の適否を言葉で示すパリシステムが国際的に広がっています[1][4]。

Class IIIの定義には施設差があり、反応性変化に近い異型から悪性を強く疑う異型まで含まれていました。過去のクラス分類とパリシステムを比べる時は、診断コメントにある細胞数、変性、炎症の有無まで確認します。

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パリシステムが重視する高異型度病変

パリシステムでは、検体不適、陰性、異型尿路上皮細胞、悪性疑い、高異型度尿路上皮がんなどのカテゴリーを使います。低異型度腫瘍への感度が低いという検査特性を踏まえ、高異型度がんの検出を重視する分類です。

「陰性」は高異型度尿路上皮がんを示す細胞が見つからなかった結果です。「異型」は正常とは異なるものの、悪性疑いへ届く特徴がそろわない状態を表します。「悪性疑い」は悪性を強く考える細胞があるものの、細胞数や所見が確定基準へ足りない場合に使われます。

メタ解析では、カテゴリーが異型、悪性疑い、高異型度尿路上皮がんと上がるにつれて、組織で高異型度病変が見つかる割合も上昇しました[4]。カテゴリー名には、次の検査へつながるリスクの段階が含まれています。

細胞診と組織を対比した研究では、パリシステムは高異型度尿路上皮がんへ焦点を当てることで特異度を保ちましたが、低異型度腫瘍や採取誤差による不一致が残りました[8]。分類名は細胞形態から推定した確率を示し、病期と病変部位は別の検査で決まります。

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尿中の細胞を顕微鏡で読む

一般的な尿検査では、潜血、白血球、蛋白、糖などを試験紙や顕微鏡で調べます。尿細胞診は目的が異なり、尿の中へ剥がれ落ちた細胞を染色し、核の大きさや形、細胞同士のまとまり方を病理医や細胞検査士が観察します。

腎盂、尿管、膀胱、尿道の内側は尿路上皮という共通の粘膜で覆われています。そのため、尿細胞診で異常細胞が見つかった場合、膀胱に加えて上部尿路や前立腺部尿道を含む広い範囲が由来となり得ます[1]。

細胞診から病変の場所は特定できず、内視鏡や画像がその情報を補います。異常細胞が尿へ出ているという情報を得て、膀胱鏡やCT、組織検査と組み合わせる役割を持ちます。

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得意な病変と不得意な病変

悪性度の高い尿路上皮がんでは、細胞同士の結び付きが弱く、核の形も大きく乱れやすいため、尿へ剥がれ落ちた細胞から異常を捉えやすくなります。平らに広がる上皮内がんは画像や通常の膀胱鏡で分かりにくい場合があり、尿細胞診が手掛かりとなります。

EAUガイドラインでは、高異型度腫瘍に対する尿細胞診の感度は84%、低異型度腫瘍では16%とされています[1]。この差は、腫瘍の大きさに加え、細胞が尿へ剥がれやすいか、顕微鏡で悪性らしい形を示すかに関係します。

このため、尿細胞診の主な役割は、見逃した際の影響が大きい高異型度がんを拾い上げることに置かれています[1][2]。

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「異型」の背景に炎症・結石・腫瘍

異型尿路上皮細胞は、細胞の形に通常と異なる変化があることを示す所見です。尿路感染、結石、カテーテルや膀胱鏡の刺激、BCG膀胱内注入療法、放射線治療などでも、細胞の核が大きくなり、悪性に似た変化が現れます。

高異型度がんの細胞が少量しか採れず、異型カテゴリーへ入る場合もあります。採尿時の炎症所見、過去の膀胱がん、血尿、膀胱鏡所見によって、同じ「異型」の重みは変わります。

パリシステムを導入した研究では、曖昧な異型判定が減り、高異型度病変に対する陰性的中率が改善しました[5][6]。異型という結果の意味は、炎症、結石、治療歴、血尿、膀胱鏡所見を加えると具体化します。

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陽性後に探す部位と深さ

尿細胞診で高異型度尿路上皮がんが疑われても、細胞が腎盂、尿管、膀胱、尿道のどこから出たかは別の検査で確かめます。膀胱鏡で膀胱粘膜を観察し、CT尿路造影などで上部尿路を確認し、必要な場所から組織を採ります。

また、細胞診は腫瘍が筋層へ達しているかを判定する検査とは役割が異なります。浸潤の深さは、経尿道的切除や生検で採った組織に、粘膜下組織や筋層がどのように含まれているかを病理で調べます。

膀胱鏡に明らかな腫瘍が見えず、細胞診が陽性となる場合には、上皮内がん、上部尿路病変、前立腺部尿道などが検討対象になります[1][2]。細胞診陽性後は、膀胱鏡と画像検査で病変部位を確かめます。

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陰性結果と膀胱鏡の役割

低異型度の乳頭状膀胱腫瘍は、細胞の形が正常に近く、腫瘍から剥がれた細胞も悪性らしい特徴が乏しいため、尿細胞診が陰性となりやすい病変です。EAUガイドラインで低異型度腫瘍への感度が低い理由もここにあります[1]。

肉眼的血尿の評価や膀胱がん治療後の確認では、細胞診が陰性でも膀胱鏡を行います。膀胱鏡は腫瘍の形と場所を直接見つけ、細胞診は高異型度病変を補う関係にあります。

前向き研究でも、尿細胞診の特異度は高かったものの、感度は腫瘍の悪性度によって大きく変化しました[3]。陰性という結果は高異型度がんの可能性を下げる情報で、尿路上皮腫瘍全体を除外する情報とは役割が異なります。

陰性細胞診を追跡した研究では、高異型度病変への陰性的中率は高かったものの、既往歴や採取方法で成績が変わりました[7]。膀胱鏡と画像を続けるかは、血尿の持続、膀胱がん既往、膀胱鏡所見、上部尿路画像に基づいて決めます。

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採尿時刻、炎症、治療歴で変わる標本

尿細胞診では、尿中に十分な尿路上皮細胞が含まれ、細胞の形が保たれていることが重要です。細胞数が少ない、変性が強い、血液や炎症細胞が多い場合には、検体不適または判定困難となります。

長時間膀胱内にたまった尿では細胞が変性しやすく、施設によっては起床直後の尿より、その後に採った新鮮な尿を用います。検体には自然排尿尿のほか、膀胱鏡時の洗浄液や上部尿路から採った尿を使います。

結石、感染、最近の内視鏡操作、膀胱内注入療法は、結果を読むうえで重要な背景です。結果表のカテゴリーとともに、検体の種類、採取時期、細胞量の記載を見ると、判定の確かさが分かりやすくなります。

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単回値より過去標本との比較

膀胱がん治療後の経過では、膀胱鏡と尿細胞診が複数回行われます。陰性が続いていた後に異型や悪性疑いへ変わった場合、直近の膀胱内治療、炎症、画像所見と採尿時期をそろえて比べます。

1回の異型判定が次回に陰性へ戻る患者もいます。炎症が落ち着き、採取された細胞の状態が変わるためです。細胞診には観察者間の判定差もあるため、必要に応じて過去標本を再確認します[1]。

同じクラス番号の繰り返しでも、血尿の有無、膀胱鏡所見、上部尿路画像が変われば意味も変わります。尿細胞診は時系列で使うことで、高異型度病変の兆候を補足する力が高まります。

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まとめ

尿細胞診は、尿へ剥がれ落ちた細胞の形を調べ、高異型度尿路上皮がんや上皮内がんを見つける力に優れた検査です。従来のClass I〜Vは細胞の良悪性を段階的に表す分類で、がんの病期とは別の分類です。現在は陰性、異型、悪性疑い、高異型度尿路上皮がんなどを言葉で示すパリシステムが広がっています。異型細胞は炎症や結石でも現れ、陽性でも病変の場所と深さは膀胱鏡、画像、組織検査で確認されます。陰性結果は高異型度がんの可能性を下げます。低異型度腫瘍を捉える膀胱鏡の役割は残ります。